揺れるカシミール 廣瀬和司の緊急現場報告~決戦前夜 (2008/10/5)

【普段は渋滞が絶えない大通りも、許可証を持った車か軍、警察の車がたまに通る程度だ】

 

【スリナガル発(インド側)】
朝の6時半に友人からの電話で叩き起こされた。「外出禁止令が施行されたよ」という。
予想はしていたものの、前日の4日の状況は穏やかで、5日は丸一日外出禁止令なるとは思っていなかった。けれど、それは油断にすぎなかった。

私の友人のカメラマンも甘く考えていたようで、外出禁止令中の許可証をオフィスに忘れたとかで、外に出られないという。

彼は出来高制で稼いでいる契約カメラマンなので、元気が無い。プレスカードを見せれば通してもらえるのでは、と訊いたが、難しいという。

この外出禁止令はもちろん明日の「ラル・チョークに向かえ!」を阻止するためのもの。この「ラル・チョークに向かえ!」はもともと8月25日に行われることになっていたが、そのときも厳しい外出禁止令が施行されて中止に追い込まれた(詳しくは8月下旬の当ブログご覧ください)。

ラル・チョークはカシミールの夏の州都スリナガルの中心地の広場名で、ここでは過去に故ネルー首相が住民投票を約束するなど、歴史的な演説が行われた場所でもある。ここで、インドからの分離・独立を求めるために市民が集会を開く予定だったのである。

そして、インド政府に独立の要求を突きつけるために何日か座り込みをするために、食事やボランティアの準備も用意済みだった。
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