そう書くと、もしかしたら民主化活動家や軍の暴力の被害者たちからも指弾されるかも知れない。
でも私は、ビルマ軍事政権の政治的な面に限って取材しているのではなく、ビルマに住む人びとの生活を中心に据えて取材をし、相当程度の期間、ここ現地の人と生活をともにして感じた正直な感想なのである。

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【写真:やっと来た。思いを寄せる人が、やっと現れた。好きな人が現れて、はにかみながら彼に近づく。つい先ほどまで、待ちくたびれた顔をしていたのが嘘のよう。うれしいけれど恥ずかしくて、直接彼の顔を見ることができない。

日曜日の公園に行くと、雨も降っていないのに木陰やベンチで雨傘が開いている。若い男女がおおっぴらに抱き合い・抱擁し・キスをしている光景を見かける】
ビルマには、悪いことと分かっていながらそれを自ら進んで受け入れてしまう現実がある。
人間の生活には綺麗事だけではすまない面がある。

堕ちていくのに抗いきれない人間の弱さを認めない社会もこれまた怖い。
私に対したビルマ人はきっと、「この外国人はビルマ軍政の悪口を言いながらも、ビルマの抱える嫌な面を含めてビルマ全部が好きになってしまったんだ。
じゃあ仕方ない、受け入れてやろうか」と思っているのではないだろうか。
~完~
<<<連載・第32回   <ビルマ潜入紀行  ~東南アジア最後の軍事独裁国家からの報告~>記事一覧

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