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【イラクの台所は広い。腕をふるう通訳の母親】(撮影:玉本英子)

玉本英子 現場日誌
バグダッドで(2)
2009年3月23日

取材中は、脂っこい外食続きで胃が重くなる。バグダッドの通訳の家では、家庭料理にあずかることができた。彼の母親が私の大好物「ブリヤニ」をつくってくださった。
いわゆる炊き込みご飯で、炊いた細長のインディカ米に、こまかく切った羊肉や鶏肉、じゃがいも、レーズン、松の実などを入れる。具の内容は変わるがインドから中東地域で食べられる。

台所で手際よく作る母親の隣で、私はメモを取りだして書きとめようとするが、火加減の調節など、とても難しい。水気の多い日本のコメで作るのはかなり難しそうだ。
「今日のブリヤニはうまくいったわ」と母親はニッコリ顔だ。

コメがパラッとしていて意外にあっさりしている。豪華な具の入った焼き飯のようなもので、塩加減はすこし控えめ。コメにレーズンとは妙な組み合わせだが、慣れると、レーズンがないと物足りなく感じるほど。おかわりを3回もしてしまった。

090323_baghdad_002.jpg【ブリヤニは時間のかかる料理。最後に各材料を入れてかき混ぜ、蒸らす】(撮影:玉本英子)

イラクの1日の食事のメインは昼食だ。仕事の終わった1時すぎごろ(公務員の基本勤務時間は朝8時から2時までだが、12時半には家に帰ってしまう場合が多い)から自宅で家族とゆっくり食べる。

その後は夕方まで昼寝の時間、ゆったりとした時間が流れる。しかし、そんな生活も難しくなってきた。物価の高騰で暮らしが立ちゆかなくなった人が急増したからだ。
みんな、本業以外に副業をやったりして、その日をなんとか生きようとしている。治安が悪化したイラクではタクシーは、すっかりなくなってしまった。

ドライバーが客を装った強盗に狙われ、客はドライバーを装った強盗に狙われた。
そんなタクシーも、いまようやく復活しつつある。副業にタクシーのドライバーをする人もすくなくない。
治安が回復しつつある兆しではある一方、どうやって生きていけばいいのか、という不安に人びとはまだまだ直面せざるをえないのだ。
(つづく)