朗読劇「ガザ 希望のメッセージ」を演じる市民劇団「国境なき朗読者たち」のメンバー(2011年京都大学内での公演で 撮影:古谷桂信)

◆市民劇団による朗読劇「ガザ 希望のメッセージ」、初の東京公演へ
「次の『ガザ』を黙認した時、私たちは同じ私たちでいられるでしょうか?」――。5年前のガザ空爆を受け、朗読劇「ガザ 希望のメッセージ」を書き上げ、自ら演出を手掛けるアラブ文学研究者の岡真理さんは語る。京都での初演から5年。

朗読劇上演のために結成された市民による劇団「国境なき朗読者たち」が12月13、14日の二日間、初の東京公演を行う。ガザにちなむ複数のテクストを時に激しく、時に美しく依り合わせ、文字に刻み付けられた思いを肉声と音楽で発し、分かち持つ。

虐殺を可能ならしめる宿痾「他者の完全否定」に文学的想像力で抵抗する場に臨場すれば、あなたはまさに「文化」が生まれる瞬間に立ち会うことだろう。(聞き手:中村一成/ジャーナリスト)

◆ガザで起きたことはホロコーストと同じことではないか
Q:制作のきっかけは?
岡:2008年から2009年にかけてのガザ攻撃です。当時、私は現地からのメールを翻訳して複数のMLに流し続けましたけど、アラブ文学研究者として自分に何ができるのかを問われました。ガザで起きたことはホロコーストを可能にしたのと同じ、「他者の人間性の否定」です。文学だからこそできる形で、その問題の根源に斬り込むことができるのではないかという思いがありました。

Q:朗読劇という形にしようと思ったのは?
岡:歌手の沢知恵さんの弾き語り「りゅう・りぇんれんの物語」を聴きました。日本に強制連行されて脱走し、日本敗戦後も10年以上、北海道を独り逃亡し続けた中国人男性の物語です。詩人の茨木のりこさんが書いた長編詩を沢知恵さんがピアノで弾き語りしたものです。朗読が始まるや、全身全霊の語りの世界に身も心も深く惹きこまれました。そのとき私は、人間の肉声がもつ力、その可能性に打たれました。そこで思いました。ガザをテーマに朗読劇をつくりたいと。
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