◆治安警備と住民理解の獲得
イラク・モスルで治安回復任務にあたっていたイラク軍。市内の警備に加え、重点的に取り組んだのが、住民の支持を得ることだった。武装組織各派は政府に冷遇された社会層や地元部族に接近して、協力させ、拒否すると攻撃対象とした。イラク軍は武装組織が貧困層に浸透するのを阻止するため、住民支援を進めた。その後、シーア派のマリキ政権が宗派色を強め、スンニ派住民や部族に反発が広がる。武装組織各派は住民の不満を利用しながら、のちにイラク・シリア・イスラム国(ISIS)に合流し、モスルを制圧、イスラム国(IS)を名乗る。ISが統治する以前のモスル現地取材と、その後のIS支配下の宣伝写真などを交えた解説の第3回目。(玉本英子)

<モスル>イラク軍掃討作戦からIS台頭までを振り返る(1) (写真9枚)
<モスル>イラク軍掃討作戦からIS台頭までを振り返る(2)(写真7枚)

モスル市内の検問所で警備にあたるイラク兵。検問所はとくに自爆車両の攻撃や遠方からの狙撃で狙われた。警察にも武装組織の協力者がいたり、偽装警官が自爆することもあるため、警察車両でさえ信用していなかった。(2010年・モスル:撮影・玉本英子)

モスル市内の検問所で警備にあたるイラク兵。検問所はとくに自爆車両の攻撃や遠方からの狙撃で狙われた。警察にも武装組織の協力者がいたり、偽装警官が自爆することもあるため、警察車両でさえ信用していなかった。(2010年・モスル:撮影・玉本英子)

モスル市内をパトロールするイラク軍部隊。路肩に仕掛けた爆弾や狙撃で狙われるので、緊張する任務だ。(2010年・モスル:撮影・玉本英子)

モスル市内をパトロールするイラク軍部隊。路肩に仕掛けた爆弾や狙撃で狙われるので、緊張する任務だ。(2010年・モスル:撮影・玉本英子)

パトロールから戻った兵士たち。ハンヴィの車内でほっとする様子。腕のワッペンには「特殊部隊」とある。(2010年・モスル:撮影・玉本英子)

パトロールから戻った兵士たち。ハンヴィの車内でほっとする様子。腕のワッペンには「特殊部隊」とある。(2010年・モスル:撮影・玉本英子)

検問所のない地域は、治安が不安定になる。イラク軍は治安の空白地区を作りださないよう、モスル市内の貧困地区を中心に検問所設置を進めた。(2010年・モスル:撮影・玉本英子)

検問所のない地域は、治安が不安定になる。イラク軍は治安の空白地区を作りださないよう、モスル市内の貧困地区を中心に検問所設置を進めた。(2010年・モスル:撮影・玉本英子)

関連写真:ISに処刑されたクルド・ペシュメルガ兵の妻

モスルのイラク軍医師が地元住民のために移動診療所を設置。トルコ系住民の多い地区での診察。(2010年・モスル:撮影・玉本英子)

モスルのイラク軍医師が地元住民のために移動診療所を設置。トルコ系住民の多い地区での診察。(2010年・モスル:撮影・玉本英子)

低所得者の多い地区では、医薬品を無料で配布していた。武装組織を排除するには、まず住民理解を広め、協力をとりつけることが方針となっていた。(2010年・モスル:撮影・玉本英子)

低所得者の多い地区では、医薬品を無料で配布していた。武装組織を排除するには、まず住民理解を広め、協力をとりつけることが方針となっていた。(2010年・モスル:撮影・玉本英子)

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