「大垣警察市民監視事件」で、公安警察から監視・情報収集の人権侵害を受けた当事者である4人の大垣市民は、2014年7月31日、岐阜県警に抗議し、謝罪を求めた。岐阜県公安委員会にも苦情申し立てをした。しかし、警察側は4人の抗議・謝罪要求には応えず、同年11月19日、シーテック社との会合の事実を初めて認めはしたが、「大垣警察署員の行為は、公共の安全と秩序の維持に当たるという責務を果たす上で、通常行っている警察業務の一環である」と悪びれた風もなく文書で回答してきた。(吉田敏浩/写真はすべて筆者撮影)
◆市民監視・情報収集を正当化する警察
岐阜県警のいわば開き直りともいえるこの回答は、市民監視・情報収集を「通常行っている警察業務の一環」として今後も続けると表明したに等しい。反省はどこにもみられない。
当事者の4人はただちに共同コメントを発表した。シーテック社に情報提供した大垣警察署員の行為は、地方公務員法第34条「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない」に違反し、市民監視・情報収集は警察法第2条2項「その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない」にも違反していると、あらためて抗議した。
また、「今回の『回答』では、『公共の安全と秩序』の中味を警察の判断次第としている」が、これを許せば「警察による『日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉』『権限濫用』の暴走に歯止めがなくなってしまうのではないか」と、憤りと憂慮を表した。

岐阜県公安委員会からも同年12月5日、同じように大垣警察署員の行為は「通常行っている警察業務の一環である」との回答が届いた。
当事者の4人は同年7月末に、警察が収集し保有している各人の個人情報の本人開示請求を、岐阜県個人情報保護条例にもとづきおこなった。だが、岐阜県側は「警察の情報収集活動に支障を及ぼすおそれがある」との理由で、「存否応答拒否」(関連文書があるともないとも答えない)というゼロ回答で応じ、無責任な姿勢をあらわにした。
さらに2015年6月4日の参議院内閣員会でも、全国の公安警察を統括する警察庁警備局の高橋清孝局長(当時)が、「一般に警察は、管内における各種事業等に伴い生じ得るトラブルの可能性について、公共の安全と秩序の維持の観点から、必要に応じて関係事業者と意見交換をおこなっており、それは通常おこなっている警察の業務の一環」という旨の答弁をした。
さらに、「〔警察は〕一般的にそれぞれの管内において、様々な事業がどのように推移するかについて治安維持の観点から関心を有し、必要に応じて関係事業者と意見交換をおこない、必要な情報については情報収集をする。事業者への情報提供もする」という旨の説明を加えた。
いずれも市民監視・情報収集、企業への情報提供と意見交換を正当化するものだ。しかし、これはどうみても企業寄りの偏った姿勢、活動であり、警察法第2条2項の「不偏不党且つ公平中正」規定を逸脱しているとしか言いようがない。
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