高市早苗政権のもと「戦争をする国」づくりが加速している。専守防衛を逸脱する敵基地攻撃能力をもつ長射程ミサイルの配備、弾薬庫の増設、「死の商人」国家となる全面的な武器輸出の解禁、軍事費(防衛費)の膨張、米軍の核兵器持ち込み容認の「非核三原則」見直しの企て、原子力潜水艦の保有構想、改憲の策動……。そして、市民監視を強め反戦の声を封じる狙いを秘めた「スパイ防止法」や国家情報会議設置法の制定への動きも、こうした戦争準備の一環である。(吉田敏浩/写真はすべて筆者撮影)

◆首相官邸に情報を吸い上げる国家情報会議設置法

今年5月27日の参議院本会議で、高市首相が「国論を二分する政策」のひとつとして推進してきた国家情報会議設置法案が、賛成多数で可決された。自民党、維新の会、国民民主党、公明党、参政党、日本保守党、チームみらいなどが賛成し、立憲民主党、れいわ新選組、共産党、沖縄の風、社民党などは反対した。

この法律により、政府のインテリジェンス(情報収集・分析)機能その本質は諜報機能(密かに情報を探知する)を高めるとの名目で、司令塔となる国家情報会議とその事務局である国家情報局が新設される。

内閣に国家情報会議(議長は首相、他の議員は内閣官房長官、特命担当大臣、国家公安委員会委員長、法務・外務・財務・経済産業・国土交通・防衛の各大臣)を設置し、事務局として内閣情報調査室を国家情報局に格上げする。

「スパイ防止法」に反対し、国家情報会議設置法案の参議院内閣委員会での採決強行に、国会議事堂そばの歩道で抗議する市民有志ら(2026年5月26日撮影)

日本には、内閣情報調査室や公安警察(警察庁警備局、各道府県警・警視庁の警備局・公安部)、公安調査庁、防衛省情報本部、自衛隊情報保全隊、外務省国際情報統括官組織など、各種の情報・諜報機関(インテリジェンス機関)があり、それぞれ情報収集、情報分析をおこなっている。公安警察、公安調査庁、自衛隊情報保全隊のように、市民監視活動もおこなう組織もある。

国家情報会議設置法によると、政府の各省庁は国家情報会議の求めに応じて、保有する情報・資料(個人情報も含む)を、国家情報局を通じて国家情報会議に提供しなければならない。

前出の公安警察以下の各情報・諜報機関は、収集した情報・資料を、内閣情報調査室からの格上げで人員・予算も拡充されるであろう国家情報局に提供する義務を負う。国家情報局はそれらの情報・資料を集約する総合調整の司令塔的な役割を担う。集約された情報・資料は、首相と主要閣僚から成る国家情報会議に提供される。

つまり首相官邸が政治、経済、社会情勢など様々な情報を効率よく吸い上げる仕組みとなる。首相のもとに集中する膨大な情報は、自身の権力の行使・維持にも利用されるとみられる。

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