◆政府に権力を集中させる戦争準備の一環
拡声器のマイクを手にコールの唱和をリードしていたのは、武器輸出問題に取り組む市民団体「武器取引反対ネットワーク」(NAJAT)の杉原浩司代表である。コールを終えて杉原さんは、国家情報会議設置法がもたらす危険性を次のように指摘した。
「これは『スパイ防止関連法制』の第1段階です。市民監視・情報収集の強化でプライバシーなど人権侵害のおそれが高まります。異論を排して国論を統一し、政府に権力を集中させる戦争準備の一環です。長射程ミサイルの配備、全面的な武器輸出の解禁などの動きとも連動しています」
「国家情報会議・国家情報局による内閣への権力集中を防ぐには、国会や第三者機関による監視・チェック機能を保障する制度が必要です。立憲民主党から第三者機関の設置を検討するよう求める修正案が出されましたが、否決され、政府原案どおり何のチェック機能もないまま、政府にフリーハンドを持たせる法案が通りました。与党主導の国会は政府の追認機関となり、立法府の役割を放棄したとしか言いようがありません」

そして、杉原さんはこう言葉を重ねた。
「しかし、この間、多くの人たちが危機感を抱き、主権者として『スパイ防止法』・国家情報会議設置法反対の声を上げてきました。この流れをさらに大きくして、市民総監視・戦争準備の『スパイ防止関連法制』の危険性を訴えてゆきたいです」
この5月26日夜、国会そばの歩道には、市民有志らおよそ2700人が連なり、プラカードを掲げ、色とりどりのペンライトを打ち振って、国家情報会議設置法案の採決強行に抗議した。「スパイ防止関連法制」反対の声を、響かせた。(つづく)
吉田敏浩(よしだ・としひろ)1957年、大分県出身。ジャーナリスト。著書に『ルポ・軍事優先社会』(岩波新書)、『「日米合同委員会」の研究』(創元社)、『横田空域』(角川新書)、『昭和史からの警鐘』(毎日新聞出版)など。























