高市政権が現在の特別国会で成立させた国家情報会議設置法。それは、昨年10月の自民党と維新の会の「連立政権合意書」で「速やかに法案を策定し成立させる」と謳った、「インテリジェンス・スパイ防止関連法制」の一環である。市民監視の強化とプライバシー侵害、表現の自由などの侵害、戦争体制づくりにつながる危うさが秘められている。本来つくるべき法律ではない。(吉田敏浩/写真はすべて筆者撮影)
◆各情報・諜報機関の「重要情報活動」の対象に制限はない
国家情報会議設置法によると、首相と主要閣僚から成る国家情報会議に対し、政府の各省庁(関係行政機関)は「重要情報活動」と「外国情報活動への対処」に関する情報・資料を、「適時に提供」し、また国家情報会議からの求めがあれば、それらの情報・資料の「提供
及び説明その他必要な協力」をしなければならない。
国家情報会議は各省庁から集まる情報・資料と、公安警察など各情報・諜報機関(インテリジェンス機関)が収集した情報を、傘下の国家情報局を通じて統括的に把握したうえで、「重要情報活動」と「外国情報活動への対処」に関する重要事項を調査審議することになる。
この「重要情報活動」とは、「安全保障の確保、テロリズムの発生の防止、緊急の事態への対処、その他の我が国の重要な国政の運営に資する情報」を「収集調査」する活動だとされる。
つまり国家安全保障(外交・防衛・経済)政策、テロ防止、有事(戦争)など緊急事態への対処に関する情報に加えて、「その他の我が国の重要な国政の運営に資する情報」とあるので、事実上、国政に関するあらゆる情報が収集調査の対象となり得る。

何をもって「重要な国政の運営に資する情報」と見なすかは、時の政権の判断次第で、いかようにも拡大解釈できる。要するに「重要情報活動」の対象は幅広く、実質的に無限定なのである。
これでは内閣情報調査室が格上げされる国家情報局、公安警察、公安調査庁、防衛省情報本部、自衛隊情報保全隊など各情報・諜報機関による情報収集の対象は、法律上、何の制限も受けないことになり、歯止めがきかない。市民監視・情報収集(いわば国家による対市民「スパイ活動」)がもたらすプライバシー侵害、人権侵害への懸念も深まるばかりだ。
国家秘密法制の問題に詳しい海渡雄一弁護士(秘密保護法対策弁護団共同代表)も、今年5月19日、参議院内閣委員会の国家情報会議設置法案に関する参考人質疑で、「どういう情報を取得してはならないのか、どういう活動をしてはならないのかを法案の中に書き込んでほしい。そうでないと暴走を避けられない」と訴えた(『しんぶん赤旗』2026年5月20日)。
すなわち「重要情報活動」の対象が無限定で、歯止めがないことのリスクは大きいとの指摘である。
次のページ: ◆市民監視や人権侵害が拡大するおそれ... ↓























