イラン暦新年の祝祭ノールーズの飾りものを並べる商店街。チャハールシャンベ・スーリーが終わると、一気に師走ムードが押し寄せる。(撮影:佐藤 彰)

 

古代から続く伝統行事チャハールシャンベ・スーリーが、13日夜、イラン全土で行われた。

チャハールシャンベ・スーリーは、毎年、イラン暦元旦に当たる春分の日を前にした最後の水曜未明にかけて行われるもので、古代ゾロアスター教に由来すると言われる。この夜、人々は、焚き火の上を飛び越え、来る年の無病息災を願う。
しかし、近年のチャハールシャンベ・スーリーは、子供や若者が違法な花火や手製の爆発物を爆発させたり、強力な爆竹を通行人や車に投げつける行為が常態化し、多くの負傷者や死者さえも出す、1年で最も危険な夜と見なされている。

首都テヘランは13日、日が落ちた頃から数秒置きに爆発音が響くようになり、21時を回る頃には、戦場さながらの爆音と救急車のサイレン、火薬のにおいに包まれた。

焚き火を飛び越える行事は、裏通りで静かに行われるものだが、筆者の住むテヘラン中心部の一角では、若者らが大通りの歩道に廃材を大量に燃やし、こぶし大の火薬球を投げ込んでいた。火薬玉が爆発すると、直径3メートルもの火の玉が炸裂し、そのたびに鉄筋コンクリートのアパートが震えた。

この焚き火の周囲に若者が次々と集まり、カーステレオの音楽を大音響にしてダンス大会が始まった。しばらくすると、そこへバイクに乗った体制派民兵組織バズィージの若者とデモ鎮圧部隊が乱入し、大乱闘となった。スタンガンを振り回すバスィージの若者を、酔った若者らが角材で滅多打ちにし、バイクや車両が激しく衝突しあった。

テヘラン市街にあるファーラービー眼科専門病院は、この夜だけで303人が治療に訪れ、失明者もいると発表した。
一夜明け、テヘラン市警察は、今年のチャハールシャンベスーリーが近年稀に見る穏やかな夜となり、テヘランでの負傷者は50人以下、逮捕者も10人に満たないと発表した。
【佐藤 彰】