イランで22日開局したインターネットテレビ局『イスラム革命永続戦線ネットワーク』のライブ放送の画面キャプチャ。説教を行うメスバーフ・ヤズディー師。一般家庭のネット環境を考慮し、小画面向けの画質に抑えられている。

 

イランで政治グループによる初のインターネットテレビ局が22日、開局した。改革派系日刊紙シャルグが23日、第一面トップで伝えた。
インターネットテレビ局『イスラム革命永続戦線ネットワーク』は、現地時間19時から毎日3時間のライブ放送と、翌朝10時からの再放送で構成され、政治や宗教に関する演説や討論、ニュースなどが放映される。

イスラム革命永続戦線は、昨年、保守強硬派の大物聖職者メスバーフ・ヤズディー師によって結成された政治グループ。「永続戦線ネットワーク」の開局は、5月4日に行われる国会補欠選挙に向けた動きと見られる。
イランには8つのテレビチャンネルと無数のラジオ局があるが、これら全ての放送メディアは国営放送IRIBによって運営されている。こうした国家によるメディアの独占に対し、これまで改革派勢力から非難の声が挙がっていたが、保守派によって握りつぶされてきた。

ところが今、保守派内からもIRIBに対して非難の声が上がっている。2009年の大統領選挙後の騒乱で改革派勢力が政治の舞台から一掃され、保守派のみの争いとなった3月の国会選挙において、IRIBが一部の政治グループに有利な報道を行ったというものだ。

イランでは、規制緩和や法改正は、改革派が提案したものを、保守派が握りつぶし、その後保守派政権になった折に実現するという傾向がある。今回も、改革派不在の国会選挙で保守派同士の政争が繰り広げられた結果、当の保守派によって、IRIBによる放送メディア独占に風穴が開けられた。

とはいえ、イランの放送法は、インターネットテレビはもちろん、無許可で映像や音声をネット上に配信することさえ禁止している。保守派の超大物聖職者による今回の措置に対し、政府がどう対処するのか注目される。
その一方で、イランの劣悪なインターネット環境を考えると、インターネットテレビをまともに視聴出来る一般家庭などイラン国内にはほとんど存在しないのが現状だ。インターネットの速度規制もまた、保守派内の政争によって緩和されてゆくことが期待される。
(佐藤 彰)