降雪の中で三池淵の工事現場を視察した金正恩氏。労働新聞より引用。

◆工事遅れで慌てて熟練工を募集

去る10月30日、労働新聞は金正恩氏は北部両江道(リャンガンド)で建設中の三池淵(サムジヨン)観光特区の建設現場を視察したと報じた。今年に入って三回目の熱の入れようである。三池淵建設は、金正恩氏直々の指揮の下で行われている最優先国家プロジェクトの一つ。工事を担う「2.16突撃隊」という建設組織には、全国から労働者や学生が動員されて6カ月交代で突貫工事を続けてきた。しかし完工が度々延期され、地元の幹部たちは金正恩氏の叱責を受けていた。
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10月末の正恩氏の視察を前にして、党と行政の幹部たちは相当強いプレッシャーを感じていたようだ。零下30度にも冷え込む厳冬期に入る前に建設工事を進捗させるため、住民に無理な労力動員、資金供出を続けてきたが、住宅建て替え工事の期限である党創建記念日の10月10日までに終えることができなかったのだ。両江道に住む取材協力者は11月中旬、次のように伝えてきた。

「資金と資材の不足で完成のめどが立たず10月末に完工期日が延期されました。そのためでしょう、外壁と内装の仕上げのために、10平方メートル当たり1米ドルを支払うという条件で当局が職工を連れてきたのです。度々の工事の遅れで処罰を恐れた幹部たちが、急きょ金を払って工事を急がせたというわけです」

同じ両江道の恵山(ヘサン)市でも同様の事態が起こっている。渭淵(ウィヨン)地区の住宅建て替え工事が、やはり期日の10月10日までに終わらず、慌てて熟練工を日当30中国元(約500円)で募集し、連日仕上げ工事に当たらせているという。

「『高給』にひかれて他地域から熟練工が大勢集まっています。当局は、労力動員された『突撃隊員』たちが工事の遅れを取り戻すために自発的に金を出し合っていると説明していますが、そんなことはありない。金正恩から批判されるのが恐ろしくて、幹部たちが身銭を切ったり、また組織の金を投入しているのです」

北朝鮮では金正恩氏の指示は絶対だ。金正恩氏が10月末に現地を視察した後、両江道の住民向け電気は、三池淵工事に振り向けられてしまった。複数の協力者によると、11月16日時点で、住民世帯のほぼ全域で絶電状態が続いている。振り向けられた電気は、電熱コイルでセメントを乾かすために使われているという。

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