060327.jpg最近赴任した日本の大使(交流協会所長)は、かつて台湾に留学していたほどの知台派である。言葉もわかる。私は某テレビ局の報道部の人に、いいチャンスだから一度彼にインタビューしてみてはどうかと、話したことがあった。

すると相手は、まるでいきなり焼芋を握らされたときのように狼狽した。おそらく局内では、真正面から日本人に向き合うことは、ちょっと想像を絶することなのだろう。

だいたい新聞でも、「日本人」と三文字で紹介されることは少ない。「日人」はまだいいほうで、「桃太郎」ですましている例が多い。そこには、民族的なあるいは歴史的な背景があるのだろうが、実に興味深い現象である(一方でドラマ、アニメを始め日本の商品は氾濫している)。

そして中村夫婦の帰国とともに、嘘のように静かになった。きびだんごさえ与えておけばウサギのように大人しいと思っていた桃太郎が、とつぜん言葉を発して、意見を述べ、台湾について批評する、という「一大事件」は、こうして収束していった。

台湾が好きでありさえすれば、台湾で老後を過ごすというのも、案外いいアイデアかもしれない。議員やマスコミはひどいが、街にパワーもあるし、庶民にはいい人が多い。ただ、正直な退職日本人には激怒しつつも、ご本人たちは台湾脱出の方途をあれこれ考えているというのも事実である。

現在私が住んでいるマンションの大家さんも、ニュージーランドへの移民を準備している。環境のこともあろうが、この土地の明日は知れないという不安が漠然とながら人びとをおおっているのも確かである。
*上の写真は24時間ニュースを流している台湾の専門局の画面
*下の写真は、ベースボールクラシックについて報道する新聞。桃太郎(日本)は四強も夢ではないと予想。

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