さらに、新しく制定された八月二五日の「先軍記念日」も、盛大に祝い遊ぶようにとの組織的指示がすでに出されていた。
この祝日のはちゃめちゃぶりをビデオで取材した記者リ・ジュンは次のように報告する。
「『先軍記念日』は、とにかくと祝えと言われるので、何の祝日かみんな訳もわかっていないのに、ええい、何でもいいから飲んでしまえ、という雰囲気だった」。

祝日が特に制約もなく営まれ、むしろ例年より派手に騒いだということが、今回宣布された「準戦時」の性格を如実に説明しているといえる。つまり、酒を飲んで騒げる程度の準戦時態勢だったというわけだ。

2 組織別の講演(注1)を通して、公式に「これからは中国もロシアも我々を支持しない」と国民は通告された。
また講演では「今後は全てを我々の力で解決せねばならない」と、孤立感を醸成し、緊張感を煽った。
一方、幹部対象の講演では、ミサイル発射が実際に成功し、その目的も達成されたと伝えられたという。

「敵対国の制裁と干渉から自分たちの利益を守るため、我が国から先に攻撃しなければならない。発展した国々は、戦争を嫌がってやれないものだ。であるから、自衛的軍事力で先制攻撃を加えなければならない」という内部の空気も広がっていたそうだ(記者リ・ジュン報告)。
(つづく)

注1 講演 政府の政策や見解の宣伝、思想の統制と教化のために、職場や地域、党組織などの機関で頻繁に行われる。
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