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【2005年、バグダッドからアルビルに避難してきたばかりのハディール(当時小学4年生)。「おもてに出るのが怖い」と窓から外を眺めてばかりいた】(2005年・アルビルで/撮影:玉本英子)

玉本英子 現場日誌
■イラク・国内避難民の子ども、ハディールちゃんとの再会(08/03/13)
イラク北部を取材中です。
約1年ぶりのアルビル。通りは活気に溢れ、建設ラッシュが続いている。物価の高騰など問題はいくつもあるが、それでもイラクの中でも治安の安定した町のひとつになった。
私は3年前から、バグダッドやモスルなど治安状況の悪化した町から逃れてきた国内避難民の子どもたちを取材してきた。今日は中学1年のハディール(14)に会うことができた。彼女はバグダッドから来たキリスト教徒。私が出会った当時は、アルビルのジャワヘリ小学校に通う小学4年生だった。

2005年3月、家族とともにバグダッドからやってきたばかりの彼女は、部屋の中に閉じこもるように過ごしていた。家の近くで米軍と武装勢力の衝突が頻繁におこり、爆弾の音が途絶える日がなかったからだ。
「キリスト教徒はアメリカの味方」「キリスト教徒は裕福」という2つの理由から、武装勢力と強盗に狙われるようになった。ハディールの同級生も身代金目的で誘拐された。路地で遊ぶ子供たちの姿は消えた。

イラク戦争後、ハディールの父親のサアドさんは、スペインの復興支援NGOで警備員として働きはじめた。しかし、外国機関とそこで働くものすべてが武装勢力に狙われるようになると、NGOはイラクから撤収した。2005年、治安が極度に悪化するなか、一家はバグダッドの家をあとにした。

アルビルのキリスト教地区アインカワに引っ越してきたが、家を借りる余裕はなく、家族5人がやっと寝られるだけの小さな部屋を間借りしての生活が始まった。
おもてに出るのがこわい、とアルビルにやってきた直後、彼女はいつも窓から外をじっと眺めていた。
「つらいときはお祈りをしなさい、とお母さんが言ってくれたから大丈夫」
と、ハディールは、壁にかけられた聖母マリアの絵を指差した。その額縁には小さな十字架がかけられていた。
(続く) イラク・国内避難民の子ども、ハディールちゃんとの再会 2>>
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