うちはなんとか生活もできてるから、あなた一〇万ぐらいなんてちょっとなあ、と思うかもしれないけど、他の家、うちの裏の家なんて一〇万はおろか一〇〇〇ウォンもない家がごまんとありますからね。そんな家で一〇万出せなんて言ったら......。

検閲員:だから私は、暮らしぶりを見たうえで、能力に応じて穏便にやりましょうと......。
支配人:それは、こっちだって同じですよ。だからさっき言ったじゃないですか。私は指導員さんが困らないようにって......。

検閲員:つまり、われわれが(検閲に)来れば(購入者が法務委員会に罰金を)払うこともないし、(うちの)違反調書に付けておけば、今後ひっかかる事もないわけです。(北朝鮮では、一度処理された法的事項を二重に処理することは、法務機関同士の争いになるためありえず、一度処理しておけば安心だということ)
支配人:そっちで実務処理をどんなふうにするのか、私は知りませんけどね。とにかく、なんとかお願いしますよ。

検閲員:どうにかしてあげようと思ってるんだけどね。正直言って工場や企業所なんかではこんな事はよくあることなんですが、個人住宅の件で通報が来たのは初めてなもんだから......。まあ、それでこっちとしても、ちょっとねえ。
支配人:やっぱりそうなんですね。
(つづく)

取材 リ・ジュン
二〇〇六年一一月
(整理 チェ・ジニ)

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