検閲員:うん、うん、そうですよ。ところで、(書記長は)支配人さんには頭が上がらないですか? そうか、分かりました。じゃ、お疲れさんです。
(電話を切る。書記長との関係を確認した彼は安心する)やれやれ、どうしたもんかなあ......。お宅も忙しいんでしょう? 少し様子を見るかな?

妥協
支配人:だから指導員さん、報告のほう、なんとかお願いしますよ。みんなこうして、なんとかやっていくんだから......。できれば報告のほうを......。

検閲員:わかりましたよ。でも、(上部の要求が)厳しいようだったら......。
支配人:その時は仕方ないですよ。しばらく様子を見ましょう......。ええ、もう、指導員さんの思うとおりに書いてくれればいいです。

検閲員:じゃあ、場所を、この家の見取り図をもらっておこうかな。今後、「誰がその家の(調査に)行ったのか」と訊かれた時に「この家ではこう言っていた」と答えられるように、話を合わせとかないといけないからな。俺もそれを書かないといけないし。
その筋書は......、「その家で聞いた話によれば、家は元々軍部隊の人の家だった。

ところが、他の人が住むはずのその家に、軍部隊の労働者が住んでいて、そのあと軍隊の外貨調達会社の人が住んでたんだが、その人が借金を作った。で、その取り立てがひどいので、逃れるために家を交換しようと言ってきた。こっちの家は○○洞にある大きな家なんだが、交換した」と......。こんな風にしましょうか。
支配人:そうそう、それでいい。とにかく頼みますよ。

検閲員:一二月までこの家に住んでたチョルソンの父親の名前はなんだったかな。
支配人:(考え込む)

検閲員:それは、まあいいか。軍部隊の外貨調達会社が何か言ってくるかな......? それから、「奥さんが借金を作って......」、いや借金をしたってわけでもないな、「向こうのほうから訪ねて来て、自分の職場が○○洞にあって遠いから、この家と交換しようということになった」ということに......。前の家の敷地の広さは六〇平米?
支配人:ええ、六〇平米です。これが見取り図です。元の六〇平米の家を渡して、交換にこの家を......。

検閲員:この家は何平米?
支配人:ここは六四平米。

検閲員:あ、それじゃ「前の家は六〇平米だ」と書いて。それから......。
支配人:「交換した」と言わないと。

検閲員:そう、「交換した」......。現在のこの家は、元々六〇〇万ウォンで売るという話があったと書くか?
支配人:元々この家を売りたいという話はあったらしいです。

検閲員:金は確かにあちらに払ったんだね?
支配人:払いましたとも。
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