核実験について
Q:核実験の時(〇九年五月二五日)に地震のようなものは感じませんでしたか?
A:私はわかりませんでしたが感じた人は多いです。食器棚が全部ひっくり返った家があるそうです。

Q:ここ(中国)でも感じた人が多いですよ。それで朝鮮に対して悪感情を抱いた人が増えたそうです。地震だと思ったら核実験だったって。あなたの周りの人々の反応はどうでしたか?
A:特にありませんでした。平民が何かいったところでどうかなるんですか。核実験をするならすればいいし、どうせなら戦争でも始めろって言い合っています。うちの母さんも、「戦争でもどーんと起こればいいのに、どっちが勝つか一度やってみたらいいのに」としきりに言います。戦争が起こって皆で死ねばいい、そうすれば楽になられるのに、そんな考えなんです。

Q:あなたもそう思いますか?
A:私も戦争が起こればいいのにと思いますよ。私たち平民はコメがもらえればそれで嬉しいんです。いま口に入れるコメもないのに核保有国になるなんてばかげてる。「こんな暮らしが続くのなら戦争でも一気に起きればいいのに」それから「寝ている間にすーっと死ねればいいのに」という言い方する人もいます。

まあ......、こうして苦労して生きていると、死んでしまいたいと思うことが本当に多いんです。私はまだ若いですが、下品な言葉でいうと、犬や豚の暮らしよりもひどい人生だから、こうやって生きていったいどうなるのかと思います。だから、いっそ死んでしまいたいと思う時が本当に多いです。

変化への渇望
Q:あなたは社会に不満が多くて言いたいこと多そうですね。
A:人々の思いは、皆同じです。(統制が厳しいが)それでも配給でも少しずつくれるならともかく、配給も与えずに人々を統制するなんて、いったいどうやって暮らせばいいのか! そうじゃありませんか? 配給が出ているなら、国家が偉そうに大口叩いたって、民衆は文句を言いませんよ。

何もくれず、ただやみくもに商売もするな、出勤しろなんです。出勤しなければ、なぜ出勤しないのかとうるさい。民衆は皆、大変なんです。人間は食べることが基本じゃないですか。何もくれずに強制的に統制しようというから、皆の恨みの声がどんどん高くなっているんですよ。実際のところ、世界的に一番立ち遅れているのがわれわれ朝鮮の生活ではないですか。

Q:誰がどんな理由でこういった社会にしていると思いますか? なぜこんなに生きづらいのでしょうか?
A:それを考えたとしても、どこで誰に言えというのですか。

Q:民衆を苦労させている人たちがいる訳でしょう。そしてその人たちには動機があるはずでしょう。
A:強盛大国の扉を開くためでしょう。開くために努力する段階だからこんなに大変なのでしょう。

Q:強盛大国が、二〇一二年になれば開かれると思いますか?
A:開かれるというのだから開かれるでしょう。分かりません(笑)。だいたい開かれると言ったって何か変化がありますかね。
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