バグダッドの小児科病院に院内学級を開設した日本のNGOの事務局長、佐藤真紀氏と患者の子どもたち。(撮影:アブサイード)

 

26日、イラクで医療支援活動をするJIM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク)がバグダッド市内にある子ども中央教育病院に院内学級を開設した。バグダッドの小児科病院に院内学級ができたのは初めてという。
院内学級は小学校の児童が対象で、教師が週に3日ほど病院を訪れて授業を行う予定だ。
病棟に設けられた教室は白をベースにした明るい配色で、真新しい児童机やイスも用意された。

10人の子どもたちがそれぞれ健康状態にあわせて教室に通うことになる。幼い頃に発病したため、学校に行ったことがなかった児童もいるため、最初は子どもどうしが遊びながら協力することを学ばせ、順次、科目を増やすようカリキュラムが組まれるという。

院内学級の教室には病気を克服した子どもたちからの励ましの手紙も飾られていた。「化学療法などでつらい毎日を過ごしている子どもたちが、この教室を見て笑顔になった。前向きな心は治療にいい効果をもたらすはず」と医師は期待を寄せる。(撮影:玉本英子)

 

小児ガンなどで入院している子どもたちは化学療法を受けているが、医療設備も十分でないため、これまでは1日のほとんどを病室内のベッドで過ごすしかなかった。
急性骨髄性白血病で入院中の男児、オマル・サーメルくん(11)は「病院で勉強できるなんてうれしい。毎日教室へ通いたい」と笑顔をみせた。

同病院に院内学級設置の提案をしたのはJIM-NETの佐藤真紀氏(49)で、これまで南部の都市バスラでも同様の教室を開設した。
「治療が優先で学習は後回しにせざるをえない、とする医師も当初はいたが、院内学級の重要性とバスラでの取り組みを話し、理解を得ることができた。教室を訪れた子どもたちの笑顔に医師たちも満足してくれたようだ」
と話した。

イラクでは近年、がんや白血病の子どもたちが急増しており、91年の湾岸戦争や03年のイラク戦争で米軍が劣化ウラン弾を使用したことが原因のひとつではないかといわれている。
治安悪化で医師が国外などに避難するなど混乱が続いたこともあり、医療現場は立ち遅れてきた。子ども中央教育病院では日本や外国のNGOの支援などで、治癒率は上がりつつあるという。
【バグダッド 玉本英子】