私が子供のころ、学校では常に「外の敵」からの脅威について、私たちに教えていました。朝鮮が日本の植民地だった時代のことを教えられ、国を奪われたらこんな悲惨な目に遭うことになる、二度と「国のない孤児」になってはならない、何があっても我が祖国は奪われないように守らなければならない!といった教育でした。朝鮮戦争のときにも私たちは国を守るために戦ったが、いまも南朝鮮(韓国)や米国、日本は、我が祖国に攻めてこようと虎視眈々と機会を窺っている、だからそのような帝国主義者たちには、武力で対抗するしかない。軍を最優先に、いざとなったときには私たち民間人も戦うために日頃から備えていなければならないということでした。

国を奪われていた私たちに国を取り戻してくれた偉大なる金日成首領様に忠誠を誓い、祖国のために命惜しまず戦うと、当時の私もそう思っていました。外部からの情報がほとんど入って来ず、入ってきたとしても大人たちが私に教えてくれなかった当時、私には学校での教育がすべてだったので、本気でそう思っていたのです。

しかし、私が北朝鮮を脱出していまこうして日本で暮らしていながら知った知識や情報から、私が子供のころに受けた教育がすべて真実ではないということを知るようになりました。真実を、そして真実を知る機会を、自分の頭で考える力を奪われていたことに気付いた時、私は悔しくてなりませんでした。たった一握りの独裁者とそのファミリー、特権階級のために、情報を遮断され、移動を制限され、自由な思考と発言を統制され、操られていたと思うと、私の18年間を返して!と叫びたくなるのです。

そして、親子3代、お孫さんにまで続いている独裁政権―金正恩政権は、いまも自分たちの身を守るために、独裁体制を維持するために、核実験に執着し、しがみついています。北朝鮮の中に住んでいる人たちの生活をかえりみることなく、どんどん苦しみに追い詰めながら、それでもなお核実験に走る金正恩政権の行動をみると、それが民衆のためではなく自分たちのためとしか、私は思えないのです。民衆を切り捨て、自分たちの身と政権維持のための核実験なのに、それを正当化するために、民衆の目を覆い耳を塞ぐのに必死な金正恩政権。しかし、情報や移動を無理やり規制するやり方では、もう体制は維持できないことを、民衆が目覚め、外部からの情報に耳を傾け、今の体制のおかしいところに気付いていることを、金正恩政権は認識すべきだと思います。もっと、苦しむ人々のことを考えてほしいです。

北朝鮮が国際社会から孤立される状況から脱し、人々の生活も良くなっていって、人の自由と権利が保障されるような国になってほしいと願いながらブログを書いていると、父の顔が浮かびました。父のお墓参りができる日を心待ちにしている私は、本当に、あの国が変わってほしいと、切に願うところであります。
リ・ハナ ツイッター HanaLee090

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