臨月だったマハヤさんはイスラム国に連行された先の、シリアの学校の教室で女児を出産。ともに拘束された女性たちが、助けてくれた。マハヤさんは赤ん坊を、クルド語で、レビーン(脱出)と名づけた。(イラク北部ザホーで 9月12日撮影:玉本英子 )

臨月だったマハヤさんはイスラム国に連行された先の、シリアの学校の教室で女児を出産。ともに拘束された女性たちが、助けてくれた。マハヤさんは赤ん坊を、クルド語で、レビーン(脱出)と名づけた。(イラク北部ザホーで 9月12日撮影:玉本英子)

1週間に与えられた食べ物は、一日にパンの切れ端がひとつ。妊娠し、臨月を迎えていたマハヤさんはそこで産気づく。拘束されていた女性たちに助けてもらい教室の片隅で女児を産み落とした。
「彼らにとっては私たちの命は何の価値もない。私も生まれたばかりの赤ん坊もきっと殺されるのだろう、とずっと泣いていました」と話す。

校舎では、独身、既婚と分けられた。姉妹は子どもを連れていたため既婚者と判断された。若い女性のなかには、床のほこりを顔にこすりつけ、老けて見 えるようにする者もいたが、医師が処女検査をしたためウソをつくことはできなかったという。10代の女性たちが先に選ばれて、連れて行かれた。彼女たちが 戻ってくることはなかった。(つづく)
イスラム国から脱出の女性に聞く(下)>>>

 

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【ヤズディ教(ヤジディ教)】
ゾロアスター教の流れをくむといわれるが、イスラム教やキリスト教の影響も受けている。イラク、シリア、トルコなどにまたがる地域に暮らす。イラク国内には最も多く、およそ60万人が暮らし、クルド語を話す。フセイン政権下では迫害され、イラク戦争後はイスラム武装勢力から「邪教」として狙われてきた。ヤジディ教、エズディ教とも表記される。

 

 

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