アフガニスタン、イラクでに派遣された米兵のうちPTSDの症状に苦しむ人は30万人に達する。兵士が戦場で受けた心の傷は、家族にも子供にも影響する。 劣化ウラン弾の影響が派遣兵士の子供に現れているという報告もある。「対テロ」戦の帰還米兵の子供たちの傷について、京都女子大の市川ひろみ教授の報告。 (整理/石丸次郎)

イラク人を拘束・身体検査をする米軍兵士たち (バグダッド市内、2003年4月 撮影 綿井健陽)

イラク人を拘束・身体検査をする米軍兵士たち (バグダッド市内、2003年4月 撮影 綿井健陽)

家族と引き離されないことは、子どもにとってはきわめて重要である。両親が米軍兵士で共に派遣されてしまい、一度に両親から引き離された子どもたちもあっ た。米国国防省によると、一人親兵士の数は湾岸戦争の頃の47,685人(1992)から90,000(2003年)へとほぼ倍増している(57)。

子どもにとって、自分を守り育ててくれる親がそばにいないことの不安は大きい。まして戦場は、命の危険がある。子どもたちは親が死んでしまうのではないかと不安になる。学齢に達しないような幼い子どもは、親が家からいなくなることについて、自分のせいだと感じてしまう。

戦闘地域に派遣された配偶者をもつ人のストレスは、子どもへの虐待を増加させる。最もよく見られる虐待は育児放棄(ネグレクト)で、夫の派遣期間 中、妻によるネグレクトの割合は4倍、身体的虐待の割合は2倍に増加した。2001年9月~2004年12月までに少なくとも1回戦闘地域に派遣されてい る兵士がいる家族に、1,985件の子どもの虐待が報告されている(58)。
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