女性兵士も前線での戦闘に参加する。写真はイラク北部に展開していた米陸軍第101空挺師団の兵士。(2003年・イラク・撮影:玉本英子)

女性兵士も前線での戦闘に参加する。写真はイラク北部に展開していた米陸軍第101空挺師団の兵士。(2003年・イラク・撮影:玉本英子)

 

女性帰還兵の増加
米国では、PTSDに苦しむ女性帰還兵が増加していることが注目されるようになってきている。州兵だったマーシー・メットカルフは、イラクではトラックの運転手として、地元の人たちに医療機器や水などを届ける活動にも参加していた。

ある日、自分に向って手を振る男の子に気づき、運転していたトラックを止めようとした。その時、その男の子が発砲したため、彼女は夢中で反撃した。12歳だったその少年は死亡した。

彼女は帰国後PTSDを発症し、さらに、結婚、出産したことで、彼女の苦しみは深くなった(62)。帰還後、以前のようには自分の子どもを愛することができなくなる母親もいる。子どもたちは「別人」になってしまった母親に戸惑い、苦しむ。

親が戦場でうけた身体的な被害が、世代を超えて子どもに引き継がれることもある。劣化ウラン弾が使用された湾岸戦争や旧ユーゴ戦争に派遣された英国軍、米軍、イタリア軍兵士たちには、健康障害が多く見られる。

彼らが帰還後にもうけた子どもたちに、手足の未発達などの先天的障害のある場合が少なくない(63)。米国ミシシッピー州の調査によると、251名 の帰還兵が帰還後もうけた子どもの67%に重度の疾患、先天性の障害がみられた(64)。この子どもたちは、生まれながらに戦争による傷を負わなければな らない。
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