イラクからのクルド自治区独立を問う住民投票を前に、キルクークでは爆弾テロを恐れた住民が食料の買い出しに来ていた。投票日前後は家にこもるという。(キルクーク市内で9月24日撮影・玉本英子)

◆「とにかく安全が欲しい」キルクーク市民の切実な思い

イラク第3位の油田を抱えるキルクークには、もともとクルド人が多く暮らしてきた。1970年代、旧フセイン政権は、人口バランスを変えるため、南部に暮らしてきたアラブ人をキルクークへ移住させ、逆にクルド人をあいついで南部や東部へ追放した。フセイン政権崩壊後、クルド人の帰還が進んだ。レバズ・ニハッドさん(22)は両親とともに東部の町から戻って10年が過ぎた。「イラク政府は信用できない。私たちは抑圧と混乱にさらされてきた。クルド独立で、早く治安も生活も安定してほしい」と言う。

住民投票で治安が不安定になることを懸念し、食料の買い出しに来た女性。「まず安全がほしい」と訴えた。(キルクーク市内で9月24日撮影・玉本英子)

 

アラブ系住民が暮らすアルワスティ地区は、通りを歩く人びとの姿もほとんどなく静かだった。ここには武装組織「イスラム国」(IS)が支配を広げたモスル、アンバルなどから逃がれてきた避難民が多く暮らしていた。7月にイラク政府がモスルを奪還すると、徐々に帰還が始まった。地区に暮らす50代のアラブ人女性は「投票には行くつもり。地区ではクルド治安部隊を恐れている人もいるが、クルド自治区の発展や安定を見ればイラク中央政府より、ずっとマシに見える」。
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