大学の正門から入ろうとしたところに警備員が立ちはだかる。「スカーフ着用での立ち入りは認められない」と告げられる学生たち。ゼヘラ(19歳・当時)は、「なぜ自分の大学の敷地に入れないのか」と怒りをあらわにした。 (2001年:イスタンブール・撮影・玉本英子)

 

これに抗議し、ボアズィチ大学の敷地にスカーフをかぶったまま入ろうと、4人の女子学生が大学近くカフェに集まった。彼女たちは「実力行動」を前に、私に思いを語ってくれた。
「スカーフをかぶったまま学内に入ることを認めてほしい、ただそれだけ。なのにそれが認められない。自分の信仰心に背くことはできない」
ゼヘラ・カルカン(文学部3年・19歳・当時)はそう言った。

「私たちが声を上げなければ、今後、入学を希望する女子もすべてスカーフを脱がなくてはならなくなってしまう」
スィベル・コジャクオウル(文学部4年・21歳・当時)の決意も固かった。

学生運動など経験したことのない彼女たちだが、それぞれがしっかりとした言葉で、大学当局の不当さや、学業を続けたいという意志、そして自分の信仰心について話した。

大学の守衛所に貼られた「スカーフ着用規定」に関する通達。数年前に出されたものだが、厳格には実施されなかった。突然の方針転換で、スカーフを被って通学してきた女子学生に混乱が広がった。(2001年:イスタンブール・撮影・玉本英子)

 

◆「そのスカーフを脱ぐなら、大学内に入っていい」と警備員

ボアズィチ大学は大きなキャンパスだ。正門はゲートになっていて、そこから校舎に向かう道路が伸びている。
スカーフ姿の4人が敷地に立ち入ったとたん、守衛所から3人の警備員が飛び出してきた。
「その姿では敷地に入ることを認めない。すぐに退去しなさい」
警備員たちの口調は冷たく、威圧的な態度だった。だが彼らも少し困惑しているようだった。

スカーフ姿の女子学生4人が、ただ自分の大学の敷地に入ろうとしているのだ。スローガンを叫んだり、横断幕を広げるわけでもない。警備員は彼女たちに手出しすることもできず、追い返そうとするのだった。
「自分の大学なのになぜこの門を通れないのですか、説明してください」
ゼヘラは警備員に問いかける。

「高等教務機関からの指示に従って対応しているだけだ」
警備員はそう言って、守衛所の窓ガラスに貼られた「スカーフ着衣規定」の小さな文書を示した。
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