フセイン政権時代にアニメやドラマなど娯楽番組を放送していたシャバーブテレビ跡。イラク戦争の空爆で破壊された。(2003年・イラク・バグダッドで撮影:アジアプレス

2003年3月、中学2年生のときにイラク戦争が始まった。「大量破壊兵器を保有」を理由に米英軍などがイラクへの攻撃を開始、バグダッドへの空爆が行われた。学校は休校、防空壕の破壊が続いていたため、中心地から少し離れた叔父の家に身を寄せた。それでも夜になると、大きな爆発音が響き、恐ろしさに体が震えた。政治のことなど何も分らなかったが、戦争だけは絶対に嫌だと思った。

破壊されたシャバーブTV建物内。映画や番組テープが散乱していた。(2003年・イラク・バグダッドで撮影:アジアプレス)

 

◆「平和というのは、まる子ちゃんのような普通の生活をおくること」

その後、高校、大学を出て、ヌーフさんは6年前ラジオ局で働いた。番組のパーソナリティーを勤めたとき、大好きだったまる子ちゃんについて話したことがあった。すると、多くのリスナーから、私も、私も、と放送中に続々電話が入った。「テレビではドラマもアニメも暴力的なシーンばかり。ちびまる子ちゃんのような子ども目線の面白い番組がないのが寂しい」との声もあった。

現在、イラクでは過激派組織「イスラム国」(IS)の弱体化が伝えられるが、不安定な状況は変わらない。

ヌーフさんは言う。「平和というのは普通の生活が続くこと。まる子ちゃんのような日々の暮らしをイラクのみんなができることを願っている」。