昨年まではどうだったか。12月に入ると住民に禁足令が出された。居住地を離れることが禁じられ、他地域に移動するのに必要な「旅行証明書」も発給が止まった。追悼関連行事が数日続き、参加しない者がいないか、保安署(警察)や役人がチェック。命日前後に酒席を開いた者は、思想闘争にかけられ批判された。

金正日氏は、1990年代に大量の餓死者を発生させるなど民生破壊がひどかったため極めて不人気で、怨嗟の声が絶えなかった。そんな金正日氏を称えよというのが毎年の命日行事だが、庶民の間では存在感が年々希薄になっていた。

「今では、金正日の名前が人の口に上がることもめっきり少なくなった」 
平壌から中国に出国してきたビジネスマンは、こう言った。(カン・ジウォン)

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