◆米人編集者も誤認逮捕のまま懲役11年の判決

このため、誤認逮捕が非常に多い。昨年に米国人編集者のダニー・フェンスターさんが非合法結社法違反などで逮捕・起訴された事件も、勤務先の報道機関を間違えた誤認逮捕とされるが、そのまま懲役11年の有罪判決が下されている。

久保田さんの入管法違反罪については、すでに裁判の手続きが進んでいる。国軍側は入国日の食い違いに気がついて、裁判の途中で修正してくるだろうか? 筆者は判決がでるまで修正しない可能性もあると思う。

なぜなら、修正せずとも有罪は間違いないし、修正することは担当者にとって面倒なことだからだ。こうした司法制度では久保田さんのように不当に逮捕される人はなくならない。早期にクーデター体制が終了し、民主主義的政権に移行することが求められる。

久保田さんの入国管理法違反については日本でも、観光ビザで入国したことの是非を問う意見がある。その点について現地の状況を説明したいと思うので、次回に解説したい。(続く)

 

北角裕樹(きたずみ・ゆうき)
ジャーナリスト、映像作家。1975年東京都生まれ。日本経済新聞記者や大阪市立中学校校長を経て、2014年にミャンマーに移住して取材を始める。短編コメディ映画『一杯のモヒンガー』監督。クーデター後の2021年4月に軍と警察の混成部隊に拘束され、一か月間収監。5月に帰国した。

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