東京労働局中央労働基準監督署(白浜弘幸署長)は6月25日、2025年3月下旬に東京都千代田区の解体にともなうアスベスト(石綿)除去作業中に計16人が一酸化炭素中毒で救急搬送された事故をめぐり、換気が不十分な場所で発電機を使用した労働安全衛生法(安衛法)違反の疑いがあるとして、施工した解体業者のジョイント(千葉県船橋市夏見)と現場責任者の同社職長(40代男性)を東京地検に書類送検した。(井部正之)

2025年3月下旬に起きた東京都千代田区の解体現場における一酸化炭素中毒事故で解体業者を書類送検した中央労働基準監督署の発表の一部

◆計16人が救急搬送

発表によれば、昨年3月27日、事故があったのは東京都千代田区神田小川町のビル解体現場。石綿を含む外壁の仕上塗材を除去するために窓などをビニールシートで養生した建物内部に発電機を設置していた。

同監督署によると、解体予定の建物は2棟あり、その間に足場を設置して周囲をビニールシートで密閉に近い状態にする「隔離養生」。建物内に計3台の発電機を配置し、うち2台(各棟で1台ずつ)を稼働させて、除去現場内を減圧し石綿の漏えいを防ぐ「負圧除じん装置」や、外壁の塗材を削り取る電動サンダーの電源として使っていた。

情報公開で入手した、千代田区に提出された吹き付け石綿などの除去作業における届け出資料によれば、屋内の一部の階のはりや柱の周りにクリソタイル(白石綿)だけでなく、発がん性がより高いアモサイト(茶石綿)を含むけい酸カルシウム板第2種(含有率0.1%超~5%)が使用されていたほか、階段の天井には同じく茶石綿と白石綿を5%超~50%と高濃度に含む仕上げ材も存在していた。

事故当日、現場で作業していたのは、石綿除去の2次下請けのジョイントの指揮下にあった3次~5次下請けの計15人。ところが発電機の自然換気が不十分だったため、発生した一酸化炭素が建物内部に充満。屋外養生内において外壁の仕上塗材を電動工具により除去していた10人に加えて、建物内で養生シートの敷設作業をしていた5人の計15人、さらに現場責任者1人、つまり当日現場で働いていた全員が一酸化炭素中毒で救急搬送されることになった。

安衛法の労働安全衛生規則(安衛則)第578条は、自然換気が不十分なところで発電機など内燃機関を有する機械の使用を禁止。同法では労働者の健康被害を防止するために必要な措置を講じることを第22条で義務づけており、同社と職長はこの規定への違反の疑いがある。

被疑事実について、同監督署は同社や職長の認否を明らかにしていない。

同監督署は、都内は狭あいな場所の作業が多くなるので、外に発電機を置けない場合にどう対応するかが課題ではあると認める一方、一般論として、年齢などから、「どうすべきかは経験則として知っていたはず」という。

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