◆個人情報の保護に後ろ向きの政府
国家情報会議設置法には、個人情報・プライバシー・人権の保護に関する規定はない。そのため、国会審議において野党のなかからはプライバシー侵害、人権侵害などへの懸念にもとづき、個人情報保護など人権に関する規定を法案に盛り込むよう求める声が上がった。
しかし、木原稔官房長官は今年4月17日の衆議院内閣委員会で、法案に個人情報の保護などの規定を盛り込む修正は考えていないとの認識を示し、「関係機関が個人情報を不当に収集しているとの評価を恐れ、ためらうことがあれば、国民の安全や国益に重大な影響を与えかねない」と述べた(『日本経済新聞』2026年4月18日朝刊)。

これは個人情報の保護、プライバシーの保護よりも、国家情報局を司令塔とする各情報・諜報機関による監視・情報収集活動が円滑におこなわれることを優先させる発想にほかならない。それを、各機関が情報収集をためらえば「国民の安全や国益に重大な影響を与えかねない」という理由付けで、正当化しようとしている。
しかし、本人が知らぬまに同意もなしに収集される膨大な個人情報の集積が、いったいどのように「国民の安全や国益」に結びつくのか、説得力のある説明はなく、客観的な検証の仕組みもないのである。(つづく)
吉田敏浩(よしだ・としひろ)1957年、大分県出身。ジャーナリスト。著書に『ルポ・軍事優先社会』(岩波新書)、『「日米合同委員会」の研究』(創元社)、『横田空域』(角川新書)、『昭和史からの警鐘』(毎日新聞出版)など。
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