◆国家情報局などの活動を国会はチェックできるか
国家情報会議設置法案の国会審議では野党議員から、与党の選挙対策のための選挙情勢調査や与党政治家のスキャンダル追及を避けるための情報収集など、政治利用のために国家情報局などが使われるおそれも指摘された。
高市首相や木原官房長官はそのような政治利用はしない旨の答弁をし、衆議院での法案可決に伴い、「特定党派の利益又は不利益を図るため、国内の政治家や選挙区に関する情報や、選挙及び選挙運動に関する情報の収集は行わないこと」など、「政治的中立性を損なう情報収集は行わない」という、国家情報局などの情報収集活動について政治的中立性を確保する旨の付帯決議もなされた。

付帯決議では、個人情報・プライバシー保護についても「無用に侵害されることのないよう、十分な配慮を行うこと」とされた。
さらに、各省庁から「国家情報会議及び国家情報局に対する情報提供の状況を、国会の監視対象とすることも検討」、今後の「スパイ防止関連法」など「国民の権利利益を制約するものを仮に検討する場合には、適切に国会が監視できるようにする」ことも盛り込まれた。
しかし、付帯決議は政府にその内容の尊重を求めるだけで法的拘束力はない。法案に条文化されなければ実効性は担保されない。本来なら野党側からも求めがあったように、国家情報局など各情報・諜報機関の情報収集などの活動を、国会や第三者機関が監視・チェックできる制度を法案に盛り込む必要があった。
いずれにしろ、プライバシー侵害など人権侵害につながる法律は、そもそも制定すべきではない。ただこのような付帯決議がなされた以上、与野党はそれを政府に守らせなければならない。さらに、付帯決議の内容を具現化する法改正も必要である。根本的には、プライバシー侵害など人権侵害をもたらす法律は廃止すべきなのは言うまでもない。(つづく)
吉田敏浩(よしだ・としひろ)1957年、大分県出身。ジャーナリスト。著書に『ルポ・軍事優先社会』(岩波新書)、『「日米合同委員会」の研究』(創元社)、『横田空域』(角川新書)、『昭和史からの警鐘』(毎日新聞出版)など。























