◆得体の知れない監視・情報収集活動

また公安警察側は、三輪さんが「ぎふコラボ西濃法律事務所」(地域の様々な社会問題、人権問題に関わってきた弁護士が所属)の事務局長だった船田伸子さんと、「強くつながっており」と強調し、「そこから全国に広がってゆくことを懸念している」、「今後、過激なメンバーが岐阜に応援に入ることが考えられる。身に危険を感じた場合はすぐに110番して下さい」などと、これまた憶測でもってシーテック社側を焚きつけ、大げさな物言いで市民運動を危険視、敵視するよう仕向けている。船田さんも公安警察から監視・情報収集されていた。
このような公安警察側の住民運動・市民運動つぶしの意図は、第4回「議事録」の記述にも表れている。公安警察が監視・情報収集の対象としていた近藤ゆり子さんについて、「岐阜コラボ」〔ぎふコラボ西濃法律事務所のこと〕主宰で、毎年5月3日(憲法記念日)に開かれる「『西濃憲法集会』が一息ついたので、風車事業反対活動に本腰を入れそうである。西濃憲法集会では、原子力反対と戦争反対を唱えている」と、シーテック社側に情報提供している。
しかし、「風車事業反対活動に本腰をいれそうである」といった近藤さんの個人的な事情まで、公安警察はいったいどのように探知したのだろうか。
「大垣警察市民監視違憲訴訟」の原告となった近藤ゆり子さん(2026年5月13日撮影)

そして、公安警察側は近藤さんのことを、「徳山ダム建設中止訴訟を起こした張本人である」と非難がましく言いつのり、「反原発・自然破壊禁止のメンバーを全国から呼び寄せることを懸念している」と、またもやシーテック社側の市民運動敵視を煽り立てるように誇張している。

このように公安警察側は得体の知れない方法で市民監視・情報収集をおこない、しかもその情報にバイアスをかけ、憶測でしかない情報も取り混ぜて、シーテック社側に提供していたのである。
それは一種の情報操作、世論工作といえる。企業側の市民運動・住民運動に対する偏見と敵視を煽り、警戒心をかきたて、企業を公安情報の収集協力者に仕立てるとともに、市民運動・住民運動つぶしに利用する意図が透けて見える。
「スパイ防止法」とその関連法制である国家情報会議設置法、外国代理人登録法などが制定されたら、このような公安警察など各情報・諜報機関による市民監視・情報収集・情報操作・世論工作が、戦争反対や原発反対や改憲反対などの様々な市民運動・住民運動つぶしにも用いられるおそれがある。(つづく)
吉田敏浩(よしだ・としひろ)1957年、大分県出身。ジャーナリスト。著書に『ルポ・軍事優先社会』(岩波新書)、『「日米合同委員会」の研究』(創元社)、『横田空域』(角川新書)、『昭和史からの警鐘』(毎日新聞出版)など。

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