◆公安警察の活動に法的規制を

「大垣警察市民監視違憲訴訟」の弁護団長、山田秀樹弁護士(ぎふコラボ西濃法律事務所所属)は、「もの言う」自由を守る会「ニュース32号」(2024年10月8日)で、名古屋高裁判決の意義は、「これまで公安警察が行ってきた活動が、憲法に照らして許されないと判断したことだ」と指摘し、次のようにまとめている。

「公安警察は、『公共の安全と秩序の維持』をお題目に、犯罪の発生の恐れや危険性などとは無関係に、市民運動、住民運動などに取り組む特定の市民をターゲットに、長期間にわたって、継続的に、本人の了解を得ることなく秘密裡に、個人の情報を集め、管理し、時に自分たちの都合の良いように利用してきました。これが、憲法に照らして許されないと判断されたのです」

「判決は、市民運動の社会における役割、重要性を指摘したうえで、被告県の主張(『大衆運動』は『大衆団体』による組織的運動のほか、SNSによる呼びかけに呼応して、短時間で主催者等の予想をはるかに超える参会者が集まり、大規模かつ無秩序な『大衆運動』が展開される危険性を秘めている)に対し、『このような主張によれば、昨今の市民(大衆)運動は、すべてこれに当てはまることになりかねないのであって、結局は、市民運動全てを危険視して、その情報を収集し、これを監視する必要があるということになってしまう』のであり、『市民運動やその萌芽の段階にあるものを際限なく危険視して、情報収集し、監視を続けるということが、憲法(21条1項)による集会・結社・表現の自由等の保障に反することは明らか』であると指摘します」

「大垣警察市民監視違憲訴訟」の名古屋高裁判決文(「もの言う」自由を守る会HPより)

「そして、大垣警察の行っていた情報収集等は目的が違法であると認定し、損害賠償請求と個人情報抹消請求を認めたのです」

「これまで、公安警察の活動は、事実上野放しにされてきました。これからは、しっかりとした法的規制を課していく必要があることを判決は示しています。そのためには、具体的な法案を用意しなければなりません。情報収集する場合の目的、手段、管理方法、保管期間、廃棄の手続、監督のための第三者機関などの定めです。諸外国の例を参考にしつつ、研究を進め
ていきたいと思います」

原告のひとりである近藤ゆり子さんは、原告勝訴の判決を受けて、違憲訴訟を起こした意味を再確認するように、こう述べている(「もの言う」自由を守る会「ニュース32号」)。

「名古屋高裁の判決は、社会運動・市民運動を積極的に評価しています。公権力が敵視するのは、憲法違反で違法だ、と言い切っています。憲法12条『この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない』。弁護団、支援者、多くの皆さんのおかげで、『不断の努力』の一つが実を結びました」(つづく)

吉田敏浩(よしだ・としひろ)1957年、大分県出身。ジャーナリスト。著書に『ルポ・軍事優先社会』(岩波新書)、『「日米合同委員会」の研究』(創元社)、『横田空域』(角川新書)、『昭和史からの警鐘』(毎日新聞出版)など。

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