本連載(12)で述べたように、公安警察は行政組織法でしかない警察法の拡大解釈によって、「大垣警察市民監視事件」でも明らかなように、プライバシー侵害、集会・結社・表現の自由侵害にあたる市民監視・情報収集をおこなってきた。(吉田敏浩/写真はすべて筆者撮影)

◆市民総監視の状況がはびこりかねない

このような既成事実が放置されたまま、その延長線上に国家情報会議設置法が可決、成立した。公安警察のこれまでのやり方に倣って、国家情報局も国家情報会議設置法という行政組織法の拡大解釈によって活動するとみられる。

国家情報会議設置法によって「情報機関による一般市民への監視が強くなる懸念は当たらない」という高市首相の国会答弁とは裏腹に、市民監視・情報収集の強化による人権侵害への懸念は増すばかりだ。

「大垣警察市民監視違憲訴訟」弁護団の山田秀樹弁護士が主張するように、公安警察や国家情報局など情報・諜報機関による「情報収集活動から個人の人権を守るためには、そのような活動を規制する法律」すなわち「法の網」を被せなければならない。

「市民総監視のスパイ防止法・国家情報局法案反対!4・17議員会館前ペンライト行動」の参加者たち(2026年4月17日撮影)

「法の網」がないまま、今後、「スパイ防止法」や外国代理人登録法などがつくられ、情報・諜報機関の市民監視・情報収集が野放しにされたら、「もの言う」自由が圧迫される市民総監視の状況がはびこりかねない。

「日本社会がそのような状況におちいらないように、今こそ『もの言う』自由を大事にしたいです。『大垣警察市民監視違憲訴訟』の名古屋高裁判決は、市民運動を積極的に評価し、市民運動を監視する必要があるとする警察側の主張を、明快に斥〔しりぞ〕けています。市民運動は『もの言う』自由に立脚するものです」

「大垣警察市民監視違憲訴訟」の原告のひとりである近藤ゆり子さん(77)は、そう強調する。

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