◆住宅地域の260倍超も石綿漏えい

2025年度までに除去などが完了した足立区役所北館4階に施工されていた吹き付けアスベストのようす(足立区ウェブサイトより)

実際に同省が毎年公表している全国調査でも、測定データで定量下限の空気1リットルあたり0.056本を下回ることは珍しくない。通常、石綿飛散がない住宅地域の平均値はわずか同0.088本(2024年度測定データから算出)に過ぎない。これと比較すると、石綿の漏えいは同23本だったことから住宅地域の261倍超に達する(総繊維同士の比較では306倍超)。

作業停止後、6日にも空気環境測定を実施。区は「基準値の1本/L未満」と発表。区はこれを理由に、石綿が漏えいしたのは、「7月29日(水曜日)午後1時から作業を中止した8月5日(水曜日) までの最大6日間(土日は休工)」と説明。

だが確認すると、前回石綿漏えいが確認された3階南西向きの外部バルコニーの排気口付近およびそこに面した3階のエレベーターホールで、いずれも総繊維数濃度が空気1リットルあたり0.8本とやや高い値だった。区は石綿の有無を確認しておらず、石綿含有の可能性を否定できていない。

その点を指摘すると、区は「可能性はあります」(中部地区建設課)と認めた。大きな漏えいは少なくとも5日までだったが、微量の飛散が続いたおそれがある。測定時のフィルターが残っていれば、改めて走査電子顕微鏡で確認すべきだ。そう質すと、区は「環境部長とも相談して検討します」(同課)と回答した。

石綿漏えいの原因について、区は事業者から「集じん・排気装置若しくはホースからの漏えいが想定される」と報告を受けているものの、「詳細な原因は確定できていません」とあいまいだ。

仮に計8台設置されていた集じん・排気装置の不具合であれば、点検すれば特定できよう。「ホース」と説明する排気ダクトの破損が原因であれば、これまた調べればわかることだ。

区によれば、作業開始前などに実施することが義務づけられている集じん・排気装置の点検記録では「問題ない」とされているというが、実際にどのような記載なのかなどは不明。適切な作業前確認ができていない可能性もありそうだ。

発表によれば、8月7日には事業者が漏えい箇所と推定される集じん・排気装置のフィルターや排気ダクトを交換。合わせて、排気口が設置されていた3階南西向きの外部バルコニーと隣接するエレベーターホールで飛散抑制剤を散布のうえで拭き掃除をした。

10日に空気環境測定により清掃状況の確認。外部バルコニーの排気口付近で空気1リットルあたり0.17本(総繊維数濃度)だったというが、なぜかエレベーターホールについては清掃後の測定が未実施という。石綿汚染の可能性があるから清掃した以上、安全確認が必要のはずだ。区は「必要があれば、改めて実施したい」(同)との見解だ。

8月14日、原因究明の状況について区に尋ねると、「顛末書の提出を求めているが、いまのところ原因について確定的な報告はない」(同)と回答した。区は原因究明のうえで再発防止を講じさせる方針。

なお、石綿ばく露により直ちに健康被害が発生するおそれはないが、区は不安を感じている方への相談窓口を公表している(中部地区建設課建築第二係 電話03-3880-5983)。

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