東京都足立区は8月13日、区役所本庁舎の老朽化にともなう改修工事でアスベスト(石綿)が漏えいする事故が起きたと発表した。7月29日から8月5日までの最大6日間(土日休工)にわたって飛散した可能性があるという。(井部正之)

◆除去作業中に石綿漏えい
同区では1985年に竣工(一部資料で1986年と記載)した区役所本庁舎北館(SRC造一部S造地上4階/地下2階建て、延べ床面積1万3583.91平方メートル)の改修に2024年から着手。すでに4階の工事を完了し、今年度から第2期工事として、3階の改修を開始した。
その際に必要になったのが、天井裏やはりなどに耐火被覆材として施工された吹き付け石綿の除去だ。
区によれば、吹き付け石綿の破片が天井板にたい積している可能性があることから、5月19日から27日までに現場をビニールシートで隔離。場内を減圧し、石綿を除去し清浄な空気だけを排出集じん・排気装置を設置した。翌28日に環境部局の立ち会いのもと養生検査を実施のうえで、29日から天井の内装解体を開始した。同日には、空気環境測定もしている(すべて1リットルあたり1本未満)。測定は作業6日ごとに実施)
7月2日まで内装解体や一部追加養生。翌3日に再び環境部局と所轄の労働基準監督署による養生検査。この際は、煙を大量発生させる「ジェットフォグマシーン」を使ったスモークテストも使って隔離が適正と確認したという。
吹き付け石綿の除去は、7月6日から開始。7月8日の空気環境測定では異常はなかった。
ところが8月4日の作業時に石綿を含む可能性のある「総繊維数濃度」を空気1リットルあたり27本検出。翌5日午後4時ごろ、速報値として区に伝えられたという。これを受け、区はすぐ作業停止を指示した。
漏えいがあったのは、3階の除去現場内に設置された、集じん・排気装置により石綿を除去して清浄な空気だけを排出するための排気ダクト8本が配置された北館3階南西向きの外部バルコニーの排気口付近。
発表によれば、7日に走査電子顕微鏡(SEM)による詳細分析で、「アスベスト(クリソタイル)が基準値を超える1リットルあたり23本確認され漏えいが判明しました」という。
ただし厳密には基準値は存在しない。区は、東京都環境局の「建築物の解体等に係る石綿(アスベスト)飛散防止対策マニュアル」の記載から「評価の目安による1リットルあたり1本未満をもとに基準値を設定」と説明。都マニュアルは厚生労働省・環境省「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル」(2021年3月)の記載を引用。その元資料は、環境省「アスベストモニタリングマニュアル」である。
しかし同マニュアルでは、「一般環境のアスベスト濃度は、近年、濃度レベルが低下してきており、総繊維でも概ね0.5f/L以下のレベルで推移している」と説明。「やや高い値」である空気1リットルあたり1本超(総繊維数濃度)を目安とする。






















