ウクライナのレズビアン・ブロガーのマルゴ。LGBTQへの理解や社会への問題提起など情報発信を続ける。(2025年4月・オデーサ・撮影・玉本英子)

◆レズビアン・ブロガーの闘い

戦時下のウクライナに生きる性的少数者たちを見つめるシリーズ第3回。 「苦しい時でも前向きに」「誇りをもって生きよう」。レズビアン・ブロガーが発信を続ける思いとは。(敬称略・取材・写真:玉本英子)  

「私たちはここにいる。厳しい状況だけど、過度に悲観的になっちゃいけない。いまだからこそ、大好きな人と過ごす日常がどれほど愛おしいかを感じよう」。戦時下でのポジティブなメッセージを発信し、いまを大切に生きようと呼びかける。(2025年4月・オデーサ・撮影・玉本英子)

◆自分らしく生きることは罪悪じゃない

オデーサ市内の待ち合わせ場所に、トヨタ・レクサスを運転して颯爽とやってきたマルゴ。たくましい体格に黒いジャケット、サイドを大胆に剃りあげたツーブロックのヘアスタイルが凛々しい。

不動産業で働くマルゴは、レズビアン・ブロガーとして知られた存在だ。インスタグラムとTikTokをメインに発信を続けている。インスタを始めたのは8年前。最初は料理の簡単レシピなど、なにげない日常の投稿だった。次第に性的少数者が誇りをもって生きていく意味をつづるようになった。

「自分らしく生きることは罪悪じゃない」

「愛は恐怖よりも強い」

メッセージはLGBTQコミュニティに広まり、共感のコメントがいくつも寄せられるようになった。

マルゴは言う。

「誇りをもって生きよう。そんなあたりまえのことができないなんて間違ってるよ、という思いだった。画面の先に、同じ思いの人がこんなにいたのかと知った。それでSNSの場をメインにブロガーとして発信に注力するようになった」

フォロワーが増えるにつれ、宗教系アカウントからの激しいヘイトにさらされた。「神を信仰する人から投げつけられるひどい言葉に複雑な思いだった」と話す。(2025年4月・オデーサ・撮影・玉本英子)

◆「地獄の業火に焼かれて死ね」

社会的な偏見や差別に直面しても自分を責めず、胸を張って生きようと訴えかけた。「LGBTQあるある」といった話題もおりまぜ、インスタグラムとTikTokで発信を続けた。前向きなメッセージに加え、自身の精神的な葛藤、社会への違和感を毒舌や皮肉を交えてつづった文章は、「トゲはあるけど嘘がない」と人気を呼んだ。だが、フォロワーが増えるにつれ、ネガティブなコメントも書き込まれるようになった。

当初はインスタグラムで愛犬エミリーとの日々やおすすめレシピなどを投稿していた。次第に性的少数者への理解や社会への問題提起を発信し始めたことからLGBTQコミュニティで知られるようになり、一時はフォロワー数が百万を超える人気ブロガーに。ブランクののち、現在はアカウントを整理してインスタグラムやTikTokで活動を続ける。(2025年4月・オデーサ・撮影・玉本英子)
「私は自分の苦しみを自慢しない。ただ、自分が何を経験し、どんな人間になったのかを知っているだけ。他の人が人生に不満をもらすかわりに、私は一歩を踏み出す」。つねに前向きでいたいとの思いに、読者からたくさんの共感が寄せられる。(2025年4月・オデーサ・撮影・玉本英子)

「ひどいコメントは全体の1割ぐらい。でもそのわずか1割がすさまじい。あらゆるヘイトを凝縮したような、憎悪と悪意に満ちた”言葉の刃”に、心は傷つき、しばらく画面を見るのも嫌になった」

ヘイトコメントを送り付けてくるユーザーは、アカウントのアイコンや投稿内容から想像できた。たいてい男性ユーザーで、年齢層は40~50代。ロシア人も少なくなかった。極右もいたが、それより多かったのが十字架やキリスト教聖画のアイコンをつけた宗教系ユーザーだった。

「同性愛者は消えろ」

「性倒錯者は地獄の業火に焼かれて死ね」

信心深そうな人たちから投げつけられる激しいコメントの数々。

「神と信仰を人生の指針としている人たちが、こんなに下劣な言葉で人を罵るなんて」

悪意あるコメントは一部のユーザーによるものと分かっているが、複雑な思いだったという。

ヘイト投稿には、マルゴのファンがコメントで反撃した。違反通報もしてくれ、フォロワーとの連帯感が生まれたという。

両親にカミングアウトしたのはブログ活動を始めてから。「お前が幸せであることが大事」と優しく受けとめてくれたことがうれしかったという。(2025年4月・オデーサ・撮影・玉本英子)

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