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「逃げられるものなら逃げたかった」
武装組織「イスラム国」(IS)の司令官(アミール)をいとこに持つアリ・ハラフ(26)は、イラク北部モスルの出身。イラク政府の治安部隊に何度も拷問を受け、その恨みから自分もISの戦闘員になることを決意した。ジハード(聖戦)を信じた彼だったが、いざ前線へ入ると恐怖で体を震えたと言う。クルド部隊ペシュメルガとの戦闘で拘束されたアリに、治安当局の施設内で直接話を聞いた。【取材:玉本英子】

◆前線に出る時、どう感じたか?
アリ:正直言って怖かった。ただISの戦闘員になるとき、決意表明していたから戦った。「死んだら天国へ行けるから恐れることはない」と口にはしたが、やはり現場に出ると恐怖で体が震えた。逃げられるものなら逃げたかった。他の戦闘員もそうだったと思う。

対空砲を積んだ車両でモスル市内を走るISの防空大隊。戦闘員は外国人と思われる。モスル IS映像より

対空砲を積んだ車両でモスル市内を走るISの防空大隊。戦闘員は外国人と思われる。モスル IS映像より

◆モスル近郊でIS部隊どうしの戦闘があったと聞いたが
アリ:それは知らない。もし、イスラム国同士が戦うのなら、アミールの地位を巡っての権力争いではないか。アミールになれば、金、女、なんでも手に入れることができるから。

◆戦闘員に外国人はいたか?日本人を見たことはあるか?
アリ:ISに外国人がいるのは知っているが、自分の仲間の戦闘員は、みなイラク人だった。日本人は見たことはないが、ドイツ人戦闘員は有名だった。通りですれ違ったことがあるが、ブロンドのひげをたくわえた、背の高い男だった。人びとが彼の周りを囲んで携帯で写真を撮っていた。あとはチュニジアなどのアラブ諸国の戦闘員を見たことがあるが、話したことはない。
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