イラク北部クルディスタン地域に日本のNGOの支援で開設された避難民児童のための補習校。校舎は住宅地の民家を借りたもの。(アルビル郊外で4月23日撮影・玉本英子)

イラク北部クルディスタン地域に日本のNGOの支援で開設された避難民児童のための補習校。校舎は住宅地の民家を借りたもの。(アルビル郊外で4月23日撮影・玉本英子)

 

4月15日、日本の民間支援団体IVY(アイビー・本部山形市)はイラク北部クルディスタン地域のアルビル郊外ガンジャン地区に、イラクの国内避難民の小学生を対象にした補習校を開設した。

現在の児童はおよそ100人で、ほとんどが武装組織イスラム国(IS)の支配地域から家族とともに逃れてきた避難民だ。
地元のクルディスタン地域ではクルド語が話されているが、避難民のほとんどはアラビア語での教育を受けてきたため、補習校ではアラビア語で授業が行われる。週に6日、 算数、理科など5教科を学ぶ。教科書はイラクの教育省から無償で提供される。

児童のひとり、5年生のフセイン・ハリードくんは、ISと政府軍の戦闘が激しいイラク西部、ラマディから昨年夏に避難してきた。
今も町に残る親戚のことが心配だという。
「8か月間学校に行けず、寂しかった。いま、こうして新しい友だちと、いろいろなことを学べるのがうれしい」と笑顔を見せる。

子どもたちは、イラクの教育省から提供される教科書で週に6日、 算数、理科など5教科を学ぶ。(アルビル郊外で4月23日撮影・玉本英子)

子どもたちは、イラクの教育省から提供される教科書で週に6日、 算数、理科など5教科を学ぶ。(アルビル郊外で4月23日撮影・玉本英子)

 

4人の教員も避難民だ。ウダイ・アジャジ先生(36)はキリスト教徒で、モスルの中学校で教えていた。
昨年6月、ISはモスルを制圧。1か月後にはキリスト教徒の追放を宣言し、ほとんどのキリスト教徒が脱出した。家や財産は次々に没収された。
「避難児童の多くはストレスを抱えていて、授業になかなか集中できない。根気強く教えていきたい」と話す。

民家を改装した教室に、元気な声が響く。取材に訪れた私を、児童らは歓迎してくれた。飛び入りで5年生の授業に参加し、折り鶴の折り方を教えた。
「折り鶴は平和の象徴ともいわれます」と言うと、児童たちは小さな指で折り紙を何度もひっくり返し、一生懸命に鶴を折っていた。

【アルビル・玉本英子】