米軍の現役兵士の自殺率は、「対テロ戦争」期に倍増。帰還後に精神を患ったり、薬物依存に陥ったり、ホームレスになるケースも顕著に見られる。女性兵士の 場合は、軍隊内の性的トラウマ」のために精神のバランスを崩す傾向が強いという。(整理/石丸次郎)

バグダッド市内中心部を制圧した米軍兵士たち (2003年4月 撮影 綿井健陽)

バグダッド市内中心部を制圧した米軍兵士たち (2003年4月 撮影 綿井健陽)

兵士たちは、都市では民間人を巻き添えにしてしまう危険にも注意しなければならない。たとえば、イラクでは62パーセントの兵士が交戦規定のために、脅威 が感じられる場合であっても攻撃的に対応できなかったと答えている(29)。また、摂氏40度を超す暑さ、砂漠での厳しい環境もストレスになったと考えら れている。

さらには、繰り返し派兵されることが、兵士にとって心身への大きな負担となる(30)。現役兵士の自殺率は、2004―08年の平均が10万人中20.2人で、1977―2003年までの平均である12.2人からほぼ倍増している(31)。

心身の負傷と後遺症によって、帰還兵は社会生活を営むことがむずかしくなる。負傷して四肢切断や聴覚、視力を失っていれば、元の職場への復帰は困難 であろう。心に傷を負った帰還兵は、薬物やアルコールに依存することが多い。これらの行動は、社会生活をさらに困難なものとする。失業に至りやすく、家族 の生活基盤も危うくする。

アメリカの全人口に占める帰還兵の割合は7パーセントだが、ホームレスに占める割合は13パーセントに及んでいる(32)。復員軍人省による 2012年の報告書によれば、イラクとアフガンからの帰還兵および女性帰還兵は、ホームレスになる傾向が強い。ホームレスとなっている帰還兵の半数は、深 刻な精神疾患を患っており、70パーセントに薬物乱用の問題があった(33)。