2014年に、アジアプレスネットワークのインタビューで武装組織イスラム国(IS)台頭の背景について語ってくれたアル・バヤン紙 の元特派員フェルハッド・ヘンミ記者(31)は昨年夏、家族3人とともにシリア・コバニからドイツへと逃れた。欧州ではトラブルを起こす難民の影響で、難民受け入れに否定的な人びとが急増している。それらをどう感じているのか。電話でのインタビュー記事を、今回アーカイブとして掲載する。聞き手:玉本英子】
(※2015年初出のアーカイブ記事。情報等は当時のまま)

◆「自分が難民になるとは思わなかった」
私の場合、昨年1月末、ISがコバニ市内から撤退した時に、避難先のトルコからいったんコバニに戻りました。地元のクルド組織・人民防衛隊(YPG)は、たくさんの戦死者を出しながらも町を守りぬきました。かれらがいなければ、町はISに制圧されていたでしょう。

ISは町の中からは撤退しました。しかし、家も地区も、すべて破壊され、食料もなくなり、前のような生活や取材活動ができるような状況ではありませんでした。また近郊の南部・西部の農村地域はいまもISの支配下で、砲撃や自爆攻撃も絶えません。

再びトルコに避難しても、何の生活の見通しも収入の手立てもありません。シリアに留まればISによる恐怖がありました。世界の誰も助けてくれない中で、この内戦があと何年続くのか分らない。戦火と混乱のなか、明日の命もわからない状況にすべての人が追い込まれてきました。

昨年末にはドイツ人女性が難民と思われる集団に暴行されるなどの事件があいついだ。一連の事態を受けて、ドイツ政府は「難民にまぎれて入り込んだ犯罪者や過激組織メンバーは直ちに強制送還措置をとる」とする姿勢を明確にした。(連邦政府サイトから)

昨年末にはドイツ人女性が難民と思われる集団に暴行されるなどの事件があいついだ。一連の事態を受けて、ドイツ政府は「難民にまぎれて入り込んだ犯罪者や過激組織メンバーは直ちに強制送還措置をとる」とする姿勢を明確にした。(連邦政府サイトから)

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