「農村動員」の時期には、北朝鮮全土でおびただしい人口が全国を移動する。これはコロナ肺炎の感染と拡散の危険性が高まることを意味する。堆肥作りも、ヒトの排泄物を扱うため同様に感染リスクが高まる。

ただ、「農村動員」の準備や堆肥作りの実施には地域差があるようだ。協力者によれば平安北道の一部では堆肥作りは中断されているとのことである。コロナ肺炎に対する警戒と対策は、全国一率ではなのだろう。

いずれにせよ、金正恩政権がコロナ肺炎の封じ込めに一程度の自信を持つに至り、隔離解除や「農村動員」決行という判断を下したのではないかと推測できる。

他方、中国国境を封鎖して一カ月半が経ち、住民たちの暮しには深刻な影響が出ている。貿易が完全にストップしたため中国産品が高騰、市場は極度の不振に陥っている。

前出の協力者のB氏は、「コロナ肺炎にかかって死ぬより、飢えて死ぬ方が早いのではないかと庶民は言い合っている。一日も早く中国国境が開いてほしい」
と窮状を訴えた。(カン・ジウォン/石丸次郎)

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

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