航空軍官学校が近くにあるこの辺りは、以前から強姦、強奪、殺人が頻繁に起きる場所だと、清津市の人々の間では評判になっていた。そのため、市内に住む人々は夜一人ではこの辺りを歩こうとしなかった。

今回の事件の被害者である女子大生は、田舎から出てきたばかりで、この辺の事情が分からなかったため、こんな不運に遭遇したのだった。
今回捕まった犯人たちは、軍官学校近くで犯行に及んだため、捜査は当然そちらへ向かうだろうと考え、自分たちは安心していたという。この辺りで強姦、強奪、殺人がよく起きることを逆に利用する軍人犯罪者が現れたというわけだ。

その場所で軍官学校の学生や軍人たちによる犯罪が多い理由を、ペク・ヒャン記者は二つ挙げた。
一つ目は、食べ盛りの年頃なのに満足に食べられない学生・軍人の慢性的な飢えのためであり、二つ目は、先軍政治が始まり、「将軍様の軍人」とちやほやされる間に傍若無人になってしまい、軍律が乱れてきたためである。結局、軍官学校と距離が近く、うす暗い場所であるという地理的条件は、事件の主たる原因ではなかったということである。
資料提供 ペク・ヒャン(白香)
二〇〇六年一一月
(整理 チェ・ジニ)

注1 副業地とは人民軍の部隊が、自前で管理する農耕地のことである。国家的措置により、人民軍は自らが作る農畜産物・水産物で部隊の副食物を確保しなければならない。しかし、一日中警備をしなければ、その副業地の農産物はすっかり盗まれてしまう。付言すると、薪など人民軍は暖房用や風呂用の燃料も、部隊の「自助努力」で解決しなければならないことになっている。

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