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南部アフリカには、白い肌の人々がいる。生まれも育ちも南部アフリカ。両親も、そこで生まれた人。おじいさんやひいおじいさんまで遡ったあたりから、イギリスやドイツやオランダの国名が聞こえてくる。そういう人々がいる。

大西洋に面した港町ウォルビスベイは、そんな人々が多く住む町だ。海岸沿いのベンチに腰を下ろして、夕陽に染まるフラミンゴの群れをぼんやり眺めていると、アジア人を珍しく思ったのか、犬と散歩中の初老の男性に英語で声を掛けられた。
ケニアやタンザニアで聞いた独特のアフリカ訛りの混じる英語ではなく、学校の授業でカセットテープから再生されるような、きれいな英語だった。

思わず、どちらの国の方なのですかと私が訊くと、ウォルビスベイに生まれ育ち、ずっと教師をしていたとのこと。彼は、ナミビア人。返ってきた返事に驚くべきことはなにもなく、僕はごくあたりまえのことをたずねたのだよなあと、ひと呼吸おいてから気がついた。
日本の公園で犬を散歩中の日本人に、あなたはどこの国から来たのですかと尋ねる外国人はいないだろうに…。

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