『本当にひどい。長期欠席児童がいるのも全部このせいだ!』
『長期欠席をなくせと言うが、子供たちは本当に、提出できないから学校に来られないでいるんだ。学校が字を教えたり、踊りを教えたり、サッカーしたりするだけの場所だったらみんな出て来ますよ。そうでしょう?』
ところが、団指導員は私たちが集中攻撃するもんだから、何も言い返せないんですよ。新しく来た指導員で」
「前の指導員じゃないの?」

「ええ、新しく来た指導員なんです。『私たち指導員もずっと上に言ってるところなんです。でもどうにもならないんです。上は出せと言うだけなんですから。それに、他の学校ではみんな出しています。うちの学校だけでなく、他の学校でも全部やってるんですよ』って言うんです」
「まあ、他のところもみんな同じだろうね。だけど、この税外負担はあんまりだわ......」
私は言葉に力が入らなくなった。

「宿直の時、教師同士でいつも話してるんです。『まったく、本当に生徒たちはよくやってるわよね。まさに搾り取られるだけの乳牛だわ、乳牛!』って。ホホホ。」
「本当に乳牛だね!」
なんだか情けなくなって、それ以上、何も言う気になれなかった。

水汲みに動員されている人民学校の生徒。朝鮮は人民学校4年、中学校6年の10年が義務教育。(1999年8月 鴨緑江沿いを中国側から石丸次郎撮影)

水汲みに動員されている人民学校の生徒。朝鮮は人民学校4年、中学校6年の10年が義務教育。(1999年8月 鴨緑江沿いを中国側から石丸次郎撮影)

 

先生の愚痴は三〇分以上続いた。私は忙しいこともあり、これはもう出すしかないか、と思い始めた。
「本当に際限がないねえ。出せ出せって」
先生はしばらく考え込んでから口を開いた。

「国防委員会からの命令で、ひと月にクズ鉄五キロずつ出すように指示されてるんです。出さなければ、校長先生は間違いなく調書を書かされます。軍の命令ですから。調書を書いて、処罰を受けて。えっと、先月だったかしら、先々月だったかしら、三万ウォンの罰金でしたよ。こうなると校長先生だってどうにもなりませんからね」

「どうせまた子供たちから巻き上げるんでしょ?」
「巻き上げるだなんて、そんなことできませんよ。校長先生は自分のポケットからお金を出したんです。
『君たち、もうちょっと頑張ってくれんと困るよ』と校長が言うので、一人の先生が、『罰金なんて払わなきゃいいでしょう』と言ったら、校長先生もあきれて、『出さないと営倉(軍の懲罰施設)送りなんだぞ』って。
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