「教員の方も本当に心が痛みますよ。
『まったく、これじゃあ教員じゃなくて、まるで徴収班長じゃないか。われわれは教育の質を上げようっていうことで日々努力しているのに、来る日も来る日も徴収ばかり。徴収に一日中かかりきってたら、まったく、勉強をいつ教えりゃいいんだ』とか、『いっそのこと、教員をやめてしまおうか』とか言って。

でもやっぱり『保護者のためにも頑張らなければ』っていうことになるんです。そうすると保護者から物やお金をいただくのも申し訳なくなるんですよね」
私が返事をせずにいると、先生はつぶやいた。

「『まったく、どこかに提起できないのかしら?』って、私たち教員も言ってるんです。本当にうんざりですよ」
先生の言葉は、それ以上耳に入ってこなかった。娘のウネはいつの間にかどこかに姿を消していた。
ついに私は、肩にかけていたカバンからお金を取り出し、ヒョクがくれと言っていた金額を乱暴に数えて突き出した。
お金を受けとった先生は、照れくさそうな笑みを浮かべると、屋台の向こうへと消えて行った。その後を、ボサボサ髪の息子がちょこちょことついて行った。
(おわり)

取材 ペク・ヒャン(白香)
(整理 チェ・ジニ)
注1 現在、小・中学校に通う子供たちは、苦難の行軍期(一九九五縲怦鼡繼續ェ)に生まれた世代で、ほとんどが一人っ子もしくは二人兄弟である。そのため、クラス当たりの子供の数が激減し、子供一人当たりの負担は倍増した。

このような事情や、他の理由によって学校に拒否感を感じた多くの保護者が、健康上の理由などを挙げて子供たちを休学させている。どの学校でも、三年も四年も留年する児童生徒が増えている。

注2 朝鮮少年団組職が八縲怦鼬ワ歳の子供たちに課した徴収計画を「子供五ヶ年計画(一九五六縲怦鼡纔Z〇)」「子供七ヶ年計画(一九六一縲怐v)」と呼んだことに由来する。

クズ鉄、ぼろ布、古紙、廃プラスチック、レンガなどの徴収品に一九七〇年代以後は犬の皮、ウサギの毛皮、杏の種、廃銅など、外貨調達のための原材料徴収課題が加えられた。

一人の子供に課される徴収物を現金に換算するとひと月数千ウォンにものぼる。
注3 一九五三年の朝鮮戦争休戦後。

<名目だけの「無料教育」>一覧

おすすめ<北朝鮮> 写真特集・無料動画… 

★新着記事