だってね、誰か一人が始めたことを、分団委員長が『おい、みんなでやろう!』なんて言って、その後で誰かが『僕はやらない』って脱退でもしようもんなら、他の子たちが寄ってたかって、のけ者にしますよ。

たったの一キロだなんて、それが先生の言うことですか? その、たったの米一キロを出さないと、『お前、けちってんじゃねえよ』なんて責められて、結局、そのために子供が学校に行けなくなっちゃうのに! まったく......」
私は息苦しさを感じた。動悸が高鳴り目の前が真っ暗になり、先生がそこにいるのかどうかも見えなくなった。心臓の発作がまた出たようだ。興奮して胸が締め付けられる。

しかし、言葉を止めることができない。胸の奥から言葉が機関銃の弾のように連射された。
「うちだってね、歯を食いしばって稼いでるんですよ。毎月一キロだけとか言っておいて、この前の晩出したのに、また出せってんでしょ? それに、他にもうちは個人的にあれこれやってあげてるじゃないさ。だから一回ぐらい目をつぶってくれたっていいのに、それを子供たちに米袋持たせてよこすなんて。
だからあたしゃ言ってやったのよ。『帰りなさい。ヒョクはもう出さないよ。二重に出したりしないんだから』って。そしたら、子供たちはそんなこと知らないからぶつぶつ言ってましたよ」
(つづく)

取材 ペク・ヒャン(白香)
(整理・文 チェ・ジニ)
注1 人民学校(小学校)と中学校の生徒組織。北朝鮮では全ての者が何らかの組織に属して「組織生活」を送らねばならないが、人生におけるそれの始まりが少年団である
注2 少年団の分団委員長。各小中学校には「少年団」が組織され、各クラスが「分団」となる。分団委員長は学級委員のようなもの

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