「いいえ、大学の教員がいちばん大変ですよ」
「えっ? 大学の先生の稼ぎがいちばん良さそうなのに......」
「大学の教員がいちばん大変だし気の毒ですよ。ぶっちゃけた話、いちばん上の人がいちばん気の毒なことって、あるじゃないですか。大学教員がいちばん大変で、その次が中学の教員、人民学校(小学校)がいちばんマシですね。託児所(保育所)のことはよく分からないけど、託児所とか幼稚園の先生が一番いいのかもしれませんね。人民学校と中学校だと、中学校の方が大変ですよ」
私は気持ちが萎えてしまった。

「ほんとに?」
「ええ、本当ですよ。人民学校の場合、なんていうか、自分のクラスがあって、自分の裁量で自分のクラスをどうにでもできるじゃないですか。それに子供が小さいと親もいろいろ気にかけますよね。

でも、中学校ぐらいになると、大きくなったから、親のほうでもちょっとなおざりになるというか。
大学の場合は、私も大学に行ったから分かるんですけど、小隊長(注3)が全部握ってますからね。人民学校だと、担任がクラスのことを仕切れるけど、大学では小隊長が仕切ってるんです。だから担任は必要ないし、懐に入ってくるものもないんですよ」

「それでもやっぱり大学教員がいちばんいいんじゃないのかしらねえ」
心臓の鼓動もかなり落ち着き、今度は先生が哀れにすら思えてきた。
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