つまり、お米を出すことについては、私らは子供をとられてるから......、先生に預けてるから、それに対する感謝の気持ちから、《心遣い》でお米を出すこともあり得ますよ。でも、それにしても《税外負担》があまりにも多すぎだわね。

あれも出し、これも出し、全部出しちまったら、私らはどうやって食べて行けというの? それはあんまりじゃないの?」
頭に血が昇ると同時に、突然目の前が暗くなった。しばらくして我に返った時は、道端だか水たまりだか分らない道をよろよろと歩いていた。先生に別れのあいさつもろくにしなかったような気がする。

いつのまにか、あたりには夕闇が迫っていた。また意識が朦朧としてきた。なんとか気を取り直さなければ。ここで倒れてしまったら、そのままあの世に行ってしまいそうな気がした。
(おわり)

取材 ペク・ヒャン(白香)
(整理・文 チェ・ジニ)

注1 分科とは小・中学校における教員の行政組織である。これに対し、専門学校や大学では「講座」と言う。分科には一名の分科長がいる。小学校では「×年生分科」のように学年別に分科が組織され、中学校では「国語分科「」 数学分科」など、科目別に組織されている。
注2 小・中学校教員たちの男女比率を見ると、都市部の学校で五〇縲恷オ〇%、農村部の学校では七〇縲恚縺Z%が女性である。
朝鮮の一般家庭では、女性が生計を背負っている場合がほとんどである。そのため、小・中学校の既婚女性教員たちは、どんなに立派な教育者であっても家族の生活を優先するしかないため、学校での教育の質は落ち、家族は家族でまた苦労することになる。
その結果、経験豊富で優秀な多くの既婚女性教員たちが、教壇を離れてしまう。
現在、教職を支えている女性教員たちは、直接的な家計維持の責任のない未婚女性か、既婚女性でも夫にちゃんとした収入があって生活維持に問題のない女性たちである。もちろん、そんな彼女たちでも、教職を通して最低限の自分の食い扶持くらい稼げなければ、教壇に立って教えることはできない。
注3 大学のクラス委員長にあたる。

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