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【レイのバーザール地区にて。現職のアフマディネジャード大統領を支持する店舗】(撮影:大村一朗)

【レイのバーザール地区にて。現職のアフマディネジャード大統領を支持する店舗】(撮影:大村一朗)

大村一朗のテヘランの風~第10期イラン大統領選挙リポート.3 2009/08/14

町のいたるところに見られ始めた選挙用ポスターは、圧倒的にムーサヴィー候補のものが多く、それ以外の候補者のものは、まだほんの数えるほどしか見られなかった。

ムーサヴィーのポスターばかりが目につくのは、私の家や職場が比較的テヘラン北部に位置しているからかもしれない。

4年前の大統領選挙では、同じテヘランでも北部は改革派、下町の南部は保守派と、支持層がくっきりと分かれていた。私は一度、テヘラン南部の下町へ足を運んでみることにした。

◆シャフレ・レイ
テヘラン中心部、イマームホメイニー広場から地下鉄で南へ9駅目、およそ20分でテヘラン南部の町シャフレ・レイに着く。レイは5000年の歴史を持ち、900年前のセルジュク朝時代の首都だった由緒ある町で、テヘランが近代イランの首都としてメトロポリス化する以前には、一つの町として独立していた。今でこそテヘラン南部、下町の代名詞のようになっているシャフレ(町)・レイだが、もともとはこちらの方がイランの中心地だったのだ。

地下鉄駅前のバスターミナルで市バスに乗り込むと、ものの5分ほどでアブドル・アズィーム聖廟に着く。9世紀に生きたシーア派の聖人の聖廟で、シャフレ・レイの中心部の一つである。
大理石の敷き詰められた広大な境内がまぶしいアブドル・アズィーム聖廟を抜けると、周囲には古くからあるバーザール地区や新しいショッピングモールが広がり、参拝者で賑わっている。

ショッピングモールやバザールを流してみると、あちこちで選挙ポスターが目についた。驚いたことに、下町の、しかもモスクの門前町という保守的な環境にもかかわらず、ムーサヴィーとアフマディネジャードのポスターの数は、ほぼ半々と言ってよかった。
各店舗のショーウインドウや入り口に張られたポスターは、そのままその候補者に対する店の主人の支持を表している。支持していなければ、ポスターを張ることなど許可するはずがないからだ。
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